2021 Fiscal Year Research-status Report
Pain and Mental Imagery: Imagery Rescripting for Chronic Pain
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19K19789
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高梨 利恵子 帝京大学, 文学部, 講師 (30755848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / イメージ書き直し / 認知行動療法 / シングルケース実験デザイン試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性疼痛の保有者の割合は上昇しているが、現在の標準的治療では痛みが十分軽快することなく経過する事例が多くある。慢性疼痛患者は疼痛時に原因となった事故や激痛の記憶など過去のトラウマや、将来の懸念を視覚化したネガティブなイメージを体験している事例が少なからずあり、このイメージが悲観的な思考や感情を引き起こし、痛みを強め、生活機能障害に結び付く回避行動につながっている可能性が考えられる。本研究では、疼痛時に体験しているイメージの内容を質的に明らかにし、痛み、感情、思考、行動に対する影響を検討して、痛みが慢性化する心理的なメカニズムのさらなる解明を試みる。さらに、疼痛時の視覚的イメージを書き直す新しい認知療法の技法を作成・実施し効果を検証する。 3年目となる2022度は、2021度改訂を行ったマニュアルの安全性と有効性を検証するため、シングルケース実験デザインを用いて、8名の慢性疼痛患者に対し、コントロールセッションとイメージ書き直しセッションからなる2回の介入を行った。すべてのケースの介入、3か月フォローアップが終了し、今後解析、報告を行う予定である。 合わせて疼痛時に出現するイメージ内容とその性質(頻度,類似度,苦痛、鮮やかさ、信念の確信度、身体的もろさ、精神的もろさ、健康不安を感じさせる程度など)についてのインタビューを行った。このイメージの性質を明らかにし、痛み、感情、思考、行動に対する影響を検討し、報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に改定したマニュアルの効果検証に際し、新型コロナウィルス流行などにより患者リクルートに予定より時間を要したため遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
シングルケース実験デザイン試験で得られた質的・量的データを解析・報告する。合わせて試験に参加した患者に対して、イメージ書きなおし技法を受けた体験についてインタビューを行い、この質的な解析に基づき本技法実施におけるガイドラインをまとめる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルス蔓延により患者リクルートに予想外の時間を要し、試験の開始や進捗が遅延したためである。次年度の使用計画としては、解析結果の学会発表、論文出版等、本研究の成果報告を行う予定である。
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