2022 Fiscal Year Research-status Report
Pain and Mental Imagery: Imagery Rescripting for Chronic Pain
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19K19789
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高梨 利恵子 帝京大学, 文学部, 講師 (30755848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / イメージ書き直し / シングルケース実験デザイン試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国では人口の高齢化に伴い疼痛保有率が増加しており,その対応は喫緊の課題である。とりわけ慢性疼痛,すなわち「急性疾患の通常の経過あるいは創傷の治癒に要する妥当な時間を超えて持続する痛み」と定義される状態に陥ると,満足の行く程度に痛みを和らげることができた患者は1/4以下であるとする報告もあり,治療のさらなる充実が求められる。慢性疼痛への治療方針は,薬物治療、理学療法,外科的治療、心理治療などを含めた集学的治療が基本であるとされており,心理治療では認知行動療法がエビデンスのあるアプローチとして推奨されている。 本研究課題は慢性疼痛が維持される認知的なメカニズムのさらなる解明を目指し,患者が疼痛時に心に思い描く「疼痛時イメージ」に着目し,その内容について質的に分析するとともに,痛みや生活機能障害,感情等に対する影響について検討することを目的とした。また,近年不安症やうつ病を始めとした精神疾患に対して効果が報告されている,「イメージの書き直し(imagery rescripting)」を行って,その効果を検証することをめざした。本年はDSM-5の身体症状症(痛みを主とする)の診断基準を満たした11例(男性5名,女性6名,平均年齢41.45±10.91歳、罹病期間6.6±4.72年, 疼痛部位は腰が3名,全身および片足がそれぞれ2名,首下全身,片腕,背部,側腹部がそれぞれ1名)に対し,疼痛時イメージの内容と機能を明らかにする半構造化面接と,イメージの書き直しを行った結果を解析し,学術大会で報告を行った。さらに,ベースライン期間をランダム化し,コントロール介入(イメージインタビュー)とイメージ書き直しをそれぞれ実施するシングルケース実験デザインにより実施した臨床試験を解析し,現在報告に向けて準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の蔓延により,患者リクルート,およびセラピストのトレーニングの進行に大きな影響が出たため,臨床試験の開始に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
11例に対して行われたイメージ書き直し技法の予備的な効果検証と,8例に対してシングルケース実験デザインを用いて実施されたイメージ書き直しの臨床試験について,学術誌に報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス蔓延により,臨床研究の開始時期と進捗に遅れが生じ,成果報告が次年度(2023年度)となる。このため,次年度使用額が生じており,使用計画としては学会出張費,論文投稿費,英文校正となっている。
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