2023 Fiscal Year Annual Research Report
Pain and Mental Imagery: Imagery Rescripting for Chronic Pain
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19K19789
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高梨 利恵子 帝京大学, 文学部, 講師 (30755848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 疼痛時イメージ / イメージ書き直し / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年不安症やうつ病など様々な精神疾患に対する認知行動療法の技法として注目を集めているイメージ書き直し技法について、前述の疾患に対して実施した臨床試験とPhilips & Samson(2012)を参考にして、慢性疼痛向けのマニュアルを作成した。また、疼痛時に心に浮かぶネガティブなイメージの痛みや感情、生活障害に及ぼす影響を検討するため、イメージの内容や機能を明らかにする半構造化面接のインタビューガイドを作成した。これらの手続きを11例に対して試行をし、この結果と実施担当者(臨床心理士3名、看護師2名、精神保健福祉士1名)に行った調査をもとにマニュアルを改訂し完成させた。 このマニュアルの実施可能性と有効性を検討するための臨床試験を実施した。慢性疼痛の患者の病態や症状が極めて多様であることから、シングルケース実験デザインを選択した。研究のデザインはアセスメント(1)、コントロール介入(イメージインタビュー)、アセスメント(2)、イメージ書き直し介入、アセスメント(3)、アセスメント(4)であった。 研究対象者8例の背景情報は、DSM-5における身体症状症の診断基準AからCを満たし疼痛が主症状の者であった。性別は女性6例、男性2例、年齢のMean (SD)は44.9歳 (15.02)、罹病期間のMean (SD)は8.0 年(8.12)であった。 評価項目としてイメージ侵入インデックス(出現頻度、苦痛度、制御不能度、日常生活障害度、鮮明度を0~100で患者自身が評定したもの)、主観的痛みの尺度、痛みに対する破局的認知尺度、生活障害度尺度等を用いた。 8例のうち6例はベースラインと比較してイメージ書き直し後にイメージ侵入インデックスが減少した。一方、8例いずれもコントロール介入であるイメージインタビュー後においても同インデックスが減少しており、イメージを丁寧に傾聴されるだけでもイメージの影響が弱まる可能性が示唆された。
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