2022 Fiscal Year Research-status Report
歩行支援型ロボット(単脚・局所型)の臨床的・脳科学的有効性の検討と機器の分類化
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19K19802
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
飯田 修平 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (10749211)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロボット型長下肢装具 / ロボット型短下肢装具 / 機能的近赤外分光法 / 脳波 / ランダム化比較試験 / 前向き探索的比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳卒中片麻痺者を対象に単脚・局所タイプの歩行支援型ロボットを使用し、臨床的介入効果と神経学的側面からの検討を行い、散在するロボット機器の分類化を行うことを目的としている。 具体的には次の3つの研究で構成する。第1研究は、脳卒中片麻痺患者に対して、ロボット型長下肢装具、ロボット型短下肢装具を使用した介入研究を行う。第2研究では、脳卒中後遺症者を対象に前述したロボット装置使用での歩行時の脳活動を測定する。脳機能の測定には、携帯型機能的近赤外分光法装置と脳波装置を使用する。第3研究では、本邦で市場化されている単脚・局所タイプの歩行支援型ロボットについて、機器の機能別・患者の適応症例別に分類する。 現在までの研究実績として、第1研究では、回復期の脳卒中片麻痺患者を対象に、ロボット型長下肢装具、ロボット型短下肢装具の使用群と非使用群(通常群)の比較研究が終了した。ロボット型長下肢装具を使用した群では、歩行時の麻痺側下肢への荷重時間の増加と左右対称性割合の向上が認められた。ロボット型短下肢装具を使用した群では、歩行速度、麻痺側片脚支持時間、片脚支持時間の左右対称性割合、機能的自立度評価法(FIM)で向上がみられた。 第2研究では、脳卒中片麻痺後遺症者へのロボット型短下肢装具使用時の表面脳血流動態の測定、脳波の測定が終了した。ロボット型短下肢装具使用時では、脳の運動関連領域の活動の上昇が確認された。 第3研究の単脚・局所タイプの歩行支援型ロボットの機能別・患者の適応症例別の分類については、現在は研究結果や他論文情報をまとめ、論文の作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は「研究実績の概要」で示したように3つの研究で構成されている。以下に研究分野ごとに進捗状況を記載する。 第1研究は順調に進展し、研究は終了した。ロボット型長下肢装具のランダム化比較試験、ロボット型短下肢装具の前向き探索的比較研究を行い、論文にて成果報告を行った。研究計画では、腰部装着型ロボットを使用した介入研究を予定していたが、本装置に関しては、前述の2つの機器に比べて報告が多く、また機器の特性上、回復期の脳卒中片麻痺者の使用には適さないと判断したため、研究計画を変更して、前述の2つの機器を中心とした臨床研究を実施した。 第2研究は、計画よりもやや遅れている。測定と論文執筆は終了し、2023年度に国際学会にて報告予定である。論文では、ロボット型短下肢装具使用時の表面脳血流動態の結果をまとめ、2023年度内(日本義肢装具学会誌)に掲載予定である。また、ケーススタディーの論文として、ロボット型短下肢装具使用時の脳波計測と歩行解析の報告も行った。 COVID-19感染拡大により、被験者募集の観点から、その他のロボット機器(ロボット型長下肢装具や腰部装着型ロボット)の脳活動の測定は困難な状況にあった。そのため、研究計画を変更し、上記2点に注力した。 第3研究では、単脚局所タイプの歩行支援型ロボットの分類の概要を2021年度に論文にて掲載した。2023年度は、機能別・患者の適応症例別の分類について、論文にて報告予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1研究では、ロボット型長下肢装具のランダム化比較試験、ロボット型短下肢装具の前向き探索的比較試験の測定、論文での報告が終了した。 第2研究では、脳卒中後遺症者1症例に対する脳波測定と歩行解析の研究について、2023年度内に結果を国際学会にて発表予定である。 第3研究では、単脚局所タイプの歩行支援ロボットの機能別・適応症例別の分類について、これまでの研究結果と他論文の内容をまとめ、2023年度に論文にて報告予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大に伴い、被験者募集や研究測定期間が予定よりも延長した。前年度までに研究成果の報告が行うことができなかったため、次年度に使用額が生た。次年度には、国際学会での発表、論文の掲載料、論文の英文校正に使用することを計画している。
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