2020 Fiscal Year Research-status Report
触地図を用いた視覚障害者の空間概念に関する評価法と訓練法の構築
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19K19805
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
豊田 航 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90609257)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 触地図 / 空間認識 / 歩行訓練 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究代表者が開発した触地図キットを使用した,視覚障害者の空間認識能力の評価手法の構築を目指した.当初の計画では,視覚障害のある被験者に対して長期的・継続的な実験参加を求める予定であったが,COVID-19の感染リスクが高く被験者への健康被害が避けられないと判断し,本年度は新たな実験方法の構築とその予備実験を検討した. 具体的には,閉眼晴眼者(視覚障害の受障後間もない者を想定)を被験者として選定し,触地図を用いた空間認識能力を定量化することが可能な新しい実験方法を構築した(空間推定課題の考案,実験プロトコルの確立,および実験装置の作製等).また,視覚障害者への歩行指導経験が豊富な歩行訓練士からの助言を得て,被験者が触地図によって得た空間認識を実環境における歩行に適用できるかどうかを評価するための新しい実験手法を詳細に検討した.以上の実験の妥当性を予備実験で確認した. 本研究により視覚障害者の空間認識能力の評価手法が確立できれば,視覚障害者の個別性に応じた,より効果的な歩行訓練を設計できるようになる可能性がある.また,本実験のデータは,触地図による空間認識と実環境における歩行の関係性を定量的に説明する知見である.こうした基礎データは触地図および視覚障害者のためのナビゲーションシステムの有用性を再確認するものであり,将来的にはこれらの福祉用具・システムの良い設計への示唆を提供する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19により実験計画の変更が余儀なくされたため遅れが生じたものの,新たな実験方法を構築し,今後良好な結果が得られることが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は実験データを取得し,研究目的の達成を目指す.
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Causes of Carryover |
COVID-19による影響により研究計画の修正が余儀なくされ,当初予定していた被験者謝金の支出および成果発表のための旅費が生じなかった.次年度は,被験者謝金,成果発表に関する旅費および出版費,そして新たに行う実験装置の開発に必要な材料費等に支出する予定である.
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