2021 Fiscal Year Research-status Report
触地図を用いた視覚障害者の空間概念に関する評価法と訓練法の構築
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19K19805
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
豊田 航 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90609257)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 方向定位 / 空間認識 / 触地図 / 評価 / 歩行訓練 / 他者中心座標系 / 自己中心座標系 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害者の安全かつ効率的な単独歩行を可能とするために,自己および他者中心座標系に関する優れた空間認識能力の獲得が重要であるが,視覚障害者が持つ空間認識能力を定量的に評価するための方法は確立されていない.そこで本研究では,視覚障害者の空間認識能力の評価方法の構築および当該能力を伸ばすための有効な訓練方法の提案を目的とした.本研究によって,客観的根拠に基づく視覚障害者のための歩行訓練が実施できるようになることが期待できる. 当該年度では,全盲の視覚障害者を模擬するために視覚情報を遮断した晴眼者を対象にして,触地図を用いた方向定位課題を行わせる実験を実施した.その結果,視覚遮断状態における以下の空間定位特性を定量的に明らかにした.(1)目的地までのルート途中に存在するランドマークの方向を正確に定位できないことによって,正確なメンタルマップを描くことができない,(2)同一ルートの往路と復路は異なる形状として認識されるため単独歩行が困難であること,(3)ランドマークへの進行方向の角度に応じて,定位方向が特定の方向にずれること,(4)触地図を用いた方向定位課題の成績によって,実環境の歩行中に発揮される定位の正確性が簡易的に予測できること. 以上の結果を踏まえ,視覚障害者の定位能力の程度を評価するための判定基準を具体的に整理することができた.さらに視覚障害者の単独歩行能力に応じた有効な訓練方法および環境設備についても提案することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により,当初計画していた実験が実施できなくなったことから,新しい実験方法の検討及び実施を試みた.この結果,良好な研究成果をあげることができたものの,成果発表の為に研究期間を1年延長することになった.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に良好な実験データを得ることができたため,現在国際誌への論文投稿を準備している.
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Causes of Carryover |
COVID-19による影響によって研究期間を一年延長したことで,成果発表のための資金を繰り越す必要が生じたため.今後,研究成果を国際誌に投稿するための英文校正費,掲載費およびこれらに関連する諸経費として使用する予定である.
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