2022 Fiscal Year Annual Research Report
触地図を用いた視覚障害者の空間概念に関する評価法と訓練法の構築
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19K19805
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
豊田 航 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90609257)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 方向定位 / 歩行訓練 / リハビリテーション / 認知地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はこれまで実施してきた成果を整理し,国際誌への投稿を行っている. 研究期間全体を通じて以下を実施した.①視覚障害者の方向定位に関する空間認識特性を評価するためのツールとして採用した触地図作成キットの有用性評価実験,②視覚障害者の方向定位に関する空間認識特性の評価課題の考案,③①および②を利用した方向定位特性の評価実験. 以上より,評価装置として採用した触地図作成キットの有用性を定量的に実証することができた.また触地図によって学習したルート上のランドマークに対する方向定位の精度を定量化する課題によって,視覚障害者が歩行中に発揮する定位能力を簡易的に予測できることが明らかとなった.本実験の結果は,視覚障害者が触地図によって心的に構築する認知地図の基本特性に関連して,以下の重要な示唆も含む:(1)触地図によってルートを学習してもルート途中に存在するランドマークの方向を正確に定位することは容易ではなく,認知地図には一定の歪みが存在する(ただしこれは触地図の実用性を否定するものではない).(2)同じルートの往路と復路は異なる形状として認識されるために(a)歩行訓練では往復の歩き方を訓練する必要がある,(b)触地図の整列効果を考慮した触読が重要である,(c)視覚障害者にとって往路用および復路用の公的触地図が有効である.これらの結果を踏まえて視覚障害者の定位能力の程度を評価するための判定基準および,定位能力に応じた訓練方法について整理することができた.
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