2020 Fiscal Year Annual Research Report
体外循環モデルラットの骨格筋における酸素・循環動態の解明
Project/Area Number |
19K19806
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
堀田 一樹 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (30791248)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ECMO / 骨格筋 / 酸素動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外式膜型人工肺(ECMO)は重症呼吸・循環障害における救命措置として最後の砦に位置づけられている.ECMOを導入された対象者は病態だけでなくECMO治療そのものが骨格筋の萎縮や日常生活動作の制限を引き起こす要因となりうる.したがって,ECMO治療中から早期のリハビリテーションが機能低下の予防戦略として期待されている.一方で,ECMOのガス交換,血流動態の特性を考慮した時に,我々の生理的条件下とは異なる生体応答が運動時に観察される可能性がある.本研究では,骨格筋における酸素動態をリアルタイムで計測するために,リン光クエンチング法を用いて骨格筋間質の酸素分圧をECMOモデルラットを用いて計測し,通常換気ラットと比較した.10-15週齢の雄性Sprague Dawleyの前脛骨筋を対象に,ECMO群とコントロール群の2群において,酸素プローブを骨格筋に投与した.ECMO群の右頸静脈に脱血管を,左頸動脈に送血管を留置した.続いて,左大腿動脈にカテーテル留置し血圧を,筋を露出して骨格筋間質の酸素分圧をそれぞれ経時的にモニタリングした.その結果,ポンプを駆動させる前のベースライン,ポンプを駆動させたECMO管理中,いずれにおいても骨格筋間質の酸素分圧は両群間に差を認めなかった.動脈血をサンプリングしガス分析を行った結果,ECMO群の動脈血酸素分圧はコントロール群の4倍程度に高値となっていた.以上のことから,ECMO管理は動脈血の高酸素化を引き起こすが,末梢組織の骨格筋間質レベルにおける酸素動態には影響しないことが明らかとなった.
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