2020 Fiscal Year Research-status Report
ランニング障害を引き起こす足部typeの解明-足部機能に基づく足部分類の開発-
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19K19815
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
工藤 慎太郎 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (70737915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 足部 / アーチ / ランニング / 筋硬度 / バイオメカニクス / 伸張性ひずみセンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の概要と目的】 健康のためにランニングを行いたいと考えるものの,ランニングにより疼痛が発生するためランニングを継続できなくなることもある.このようにランニング障害の予防は選手のみならず,多くのスポーツ愛好家にとって重要になる.ランニング障害を予防するためには,その障害の発生機序の解明が必要になる.従来の研究では,扁平足という構造の変化が生じた足にランニングの負荷が加わることで筋硬度の上昇を招き疼痛が発生するという病態が考えられていた.しかし,同じ環境で同じ練習をしているにも関わらず,症状のないの扁平足が多くいる.そこで,従来の分類に加えて,機能的視点で細分化し,よりランニング障害になりやすい足を明らかにする.足部typeの違いによるランニング障害の発生機序の解明はスポーツに関わるすべての人に重要である.扁平足という構造の変化がランニング障害を惹起するかは一定の見解を得ていない.一方,ランニング後の下腿部の筋硬度上昇はランニング障害の一因と知られている.申請者はこれまで前足部の剛性が亢進するとランニング障害が発生しやすいこと,扁平足では外側縦アーチを支持する足内在筋が萎縮していることを報告してきた.さらに,これまでの研究成果に基づき,足部アーチを支持する機能的サポーターを開発した.そこで,このサポーターの効果を検証するために,ランニング負荷を与えた際の下腿筋硬度に与える影響を検証している.このサポーターが下腿筋硬度上昇を抑制する効果が得られることを確認したものの,そのメカニズムは十分に明らかになっていない.そこで当該年度はサポーター装着下でも足部挙動を分析できる解析手法の開発を行い,論文化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は機能的サポーターを装着した際のランニング前後の筋硬度計測を行った.結果,ランニング後の筋硬度の上昇をサポーターにより抑制することが可能であった.しかし,なぜランニング後の筋硬度上昇を抑制できるのかが明らかではなかった.サポーターによる力学的支持が筋硬度の変化に関与していると推測した.しかし,サポーターや靴といったFoot wearを装着中の足部挙動の変化を非侵襲的に解析することは難しい.そこで,サポーター内で,足部挙動の変化を解析できる手法として,伸縮性ひずみセンサーを用いた歩行分析手法を開発した.昨年度はこの解析手法をGait&Postureに掲載させることができた.さらに,この手法により,サポーター装着中の足部挙動を解析し,サポーター装着により,歩行・走行中の足部の過回内を制動する効果を持つことを確認している. これらの新たな手法の開発は当初予定していた研究ではなかったが,サポーターの効果を検証する上で必要な研究として追加したところ,大きな成果が得られた.そのため,研究計画は当初の研究計画以上に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度明らかになった『サポーター装着による足部挙動の変化』と『長時間のランニングによる下腿筋硬度の変化に対する機能的サポーターの効果検証』を論文化する. さらに,Pilot studyでは足底腱膜炎に対する除痛効果が窺えるため,足底腱膜炎に対する臨床研究の計画を準備する.
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Causes of Carryover |
今年度は学会のオンライン化に伴い,出張旅費が減少した.次年度は後半に学会出張が生じるため,問題なく使用できると考えている.
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