2021 Fiscal Year Annual Research Report
心理社会的要因からみた筋骨格系疼痛の発症メカニズムと、疼痛の地域間格差の解明
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19K19818
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
池田 登顕 山形大学, 医学部, 講師 (20804917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疼痛 / 心理社会的要因 / 社会経済状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1)個人/地域レベルの社会経済状況が、腰痛の有訴と関連するか2)個人レベルの社会経済状況が、膝痛の有訴と関連するか3)社会的孤立が疼痛と関連性が指摘されている喫煙行動とどのように関連するか4)震災による社会経済状況の変化が膝痛と関連性が指摘されている関節炎の発生に影響を及ぼしているか、5)疼痛の緩和要因として知られている運動習慣と肺炎の死亡の関連性、6)腰痛の発生要因として知られている脊椎圧迫骨折患者に対する早期リハビリテーション医療が退院時のADL能力に影響があるか、7)疼痛の原因となる転倒の機械学習を用いた精度の高い予測モデルを構築できるか検証した。検証の結果、1)腰痛の有訴は、都道府県単位の失業率および学歴、職業と関連していた。都道府県単位の失業率は、個人レベルの要因を調整しても有意な関連性が認められた。2)膝痛の有訴は、所得や最長就労職業と関連していた。低所得や肉体労働に従事していた高齢者ほど、膝痛リスクが高かった。この関連は、うつ症状により一部説明される可能性が示唆された。3)社会的に孤立していない個人ほど喫煙をやめている個人が多かった。4)震災による家屋被害や経済状況の悪化は、震災後の関節炎発症に影響を及ぼしていた。その影響は、医療機関への受診控えによって一部説明される可能性が示唆された。5)歩行以外の運動習慣が無い高齢者においても歩行習慣は肺炎による死亡率を減少させる可能性が示唆された。6)脊椎圧迫骨折で入院治療した高齢患者において、早期リハビリテーション医療は退院時のADL能力の向上に影響を及ぼしていることが示唆された。7)転倒の予測モデルを機械学習の手法を用いて構築した結果、約90%の精度で予測するモデルを構築することができた。 社会経済状況が様々な症状や症候群と関連することが明らかになった。今後、社会経済状況による格差是正のための政策が求められる。
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Research Products
(6 results)