2022 Fiscal Year Annual Research Report
心拍の超低周波ゆらぎ成分を用いた身体活動による炎症抑制機序の解明
Project/Area Number |
19K19819
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Research Institution | Aichi Medical College for Physical and Occupational Therapy |
Principal Investigator |
臼井 晴信 愛知医療学院短期大学, 理学療法学専攻, 准教授 (80779629)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 身体活動量 / 自律神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度には約10名の追加測定を行い得られたデータを解析し、次のような成果を得た。本研究の目的は、(1)身体活動量が増加することによって、心拍の長周期のゆらぎ成分であるVLF(Very Low Frequency)成分が増加するか、(2)身体活動量の増加による高感度CRP、IL-6の低下に、VLF成分の増加が寄与するかの2点を明らかにすることであった。 目的(1)(2)を明らかにするためには、身体活動量を確実に増やすことが必要であった。身体活動量はオンライン会議システムを用いて具体的にフィードバックをすることで増やそうとした。実際、身体活動量を増やすためのフィードバックを行う介入群では、フィードバックを行わない対照群と比較して身体活動量が増加した。 その上で、目的(1)に対して、身体活動量が増加と心拍のゆらぎ成分の変化を検証したところ、身体活動量の増加に伴ってVLF成分が増加することが明らかとなった。今まで、身体活動量とVLF成分に関する相関関係は明らかとなっていたが、実際に身体活動量の増加に伴ってVLF成分が変化することを明らかにできたことは本研究の重要な成果である。VLF成分が低下することは、心血管疾患の増悪や死亡と関連していることが分かっている。そのため、心血管疾患の予防を目的に身体活動量を増やそうとしたとき、VLF成分は予防のための効果判定の指標として用いることができる可能性がある。今後、実用化に向けた研究を継続する。 目的(2)について、血液検査によって高感度CRPとIL-6を測定する計画であったが、新型コロナウイルスのワクチン接種などの影響で、協力施設での血液検査ができなかった被験者がいた。そのため十分な対象者数を確保できずIL-6については関連を認められなかった。高感度CRPは身体活動量の増加に伴い減少したが、VLF成分の寄与は明なにならなかった。
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