2019 Fiscal Year Research-status Report
運動イメージの想起能力が巧緻性へ及ぼす影響とメンタルプラクティスの有用性の検討
Project/Area Number |
19K19832
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入江 啓輔 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50792264)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 巧緻性 / 運動イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 整形外科疾患における手の巧緻運動障害と運動イメージ能力の関係を明らかにし, 手の巧緻運動障害に対する運動イメージを用いた介入方法を検討することであった. 平成30年度は, 整形外科疾患における手の固定や安静後に生じる運動イメージ能力の低下と巧緻運動障害の関係性について検討を行った. 橈骨遠位端骨折および手根管症候群を対象に, 運動イメージ能力の評価として質問用紙法であるKinesthetic and Visual Imagery Questionnaire-20 (KVIQ-20)やMovement Imagery Questionnaire-Revised Japanese Version (JMIQ-R)を用い, 巧緻運動障害の評価としてmodified Simple Test for Evaluating Hand Function(MSTEF)を用いて運動イメージ能力と巧緻運動障害の関係について調査した. 手の巧緻性は低下する傾向を示したが, 運動イメージ能力は術前と比較しても変化が少なく, 手の巧緻運動障害と運動イメージ能力に相関は認められず, 当初の仮説通りの傾向とはならなかった. 上記の要因として, ①巧緻運動障害の評価, ②対象疾患, ③運動イメージ能力の評価に着目し, ①と②に対しては頚椎疾患に対してPurdue Pegboard Testを用いたデータを解析し, その有用性を再検証した. その結果, 疾患の特性に応じた巧緻運動評価を選択する必要性が示唆されたため, 論文の執筆を行った. ③に対しては既存の運動イメージ評価を見直し, 新たな運動イメージ鮮明度評価の指標が必要であるという結論に至った. 今後は, 運動イメージ鮮明度の評価指標を検討していく予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は, 整形外科疾患に対して運動イメージ能力と手の巧緻性の関係性を明らかにし, メンタルプラクティスの有用性を検証する予定であった. しかし, 近年の整形外科疾患に対するリハビリテーションは早期から運動を開始する傾向にあり, 先行研究で報告されているような運動イメージ能力の低下は示しにくい状況にあることが考えられた. また, 本研究で用いた運動イメージ能力の評価は, 鮮明度を質問用紙にて評価する手法であり, 多様な運動課題に応用することが困難であることが課題として挙げられた. 上記のように当初の仮説通りの結果は得られなかったが, その要因を分析し問題を解決するための研究課題に取り組んでいる状況であるため, やや遅れていると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の研究課題を遂行する上での課題は, KVIQ-20やJMIQ-Rは質問用紙を用いた特定の運動課題に対する評価であるため,多様な運動課題に対して運動イメージの鮮明度を評価することはできないことである.そのため, 優先して取り組むべき課題は, 対象者の運動イメージの鮮明度の状態を可視化することである. 今後の計画として, 新たな運動イメージ鮮明度評価方法の確立に向け, 言語表出による運動イメージ能力評価法を考案し, 既存の運動イメージ能力評価法である質問用紙法や心的時間測定法および左右弁別課題との関係について検討し, その有用性を総合的に検証することを目的とするように研究計画を変更する.
|
Research Products
(4 results)