2019 Fiscal Year Research-status Report
超音波剪断波エラストグラフィによる腱板機能不全の定量評価と継時的変化の検証
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19K19833
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
榊 善成 札幌医科大学, 保健医療学部, 研究員 (50554549)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動器理学療法 / 腱板 / 発揮張力 / 剪断波エラストグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、超音波剪断波エラストグラフィによる腱板機能不全の定量評価と腱板修復術後の継時的変化の検証に向けて、1つ目に腱板断裂男性症例10例と健常成人男性13例を対象に、肩甲骨面外転保持運動時の棘上筋各線維のスティフネス変化を検討した。運動課題は肩甲骨面30°外転保持の運動課題3つ (無負荷、上肢1/2自重負荷、上肢自重負荷) とし、棘上筋 (前方・後方線維の浅層部と深層部) の4領域の剪断弾性係数を、超音波剪断波エラストグラフィを用いて計測した。その結果、前方線維浅層部の筋弾性は1/2自重負荷課題において対照群と比較して患側で有意に低値だった。このことから、肩甲骨面外転保持運動における棘上筋の前方線維浅層部の筋弾性は、対照群と比較して患側で低値であることが示された。 2つ目に、腱板修復術を受ける症例8名を対象に、肩甲骨面外転保持運動時の棘上筋各筋線維のスティフネスを調査した。運動課題は、肩甲骨面30°外転保持運動とした。各筋スティフネスを、超音波剪断波エラストグラフィを用いて手術前と手術後3ヵ月、手術後6ヵ月の計3回計測した。その結果、前方線維浅層部の収縮時スティフネスは、手術前において患側と比べて健側が有意に高値だった。また、前方線維浅層部の手術前からのスティフネス変化率は、患側において手術前、手術後3ヵ月と比べて手術後6ヵ月が有意に高値だった。したがって、腱板修復術症例では、前方線維浅層部の発揮張力は手術後6ヵ月時には手術前と比べて改善する可能性が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進んでおり、研究結果の一部は国内学会にて発表済みである。腱板修復術後症例における経時的変化の調査に関しては、現在術後半年データの測定・解析を進めており、予定通り遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度から実施している腱板修復術後症例の経時的変化について、術後半年と術後1年データの測定・解析を進める予定である。棘上筋各筋線維、僧帽筋上部線維、三角筋中部線維のスティフネス変化を超音波剪断波エラストグラフィや表面筋電計、徒手筋力計を用いて調査し、その結果を学術大会および国内外の論文で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会の中止、および論文校正費の未使用や解析用物品未購入のために、予定より執行額が少なかった。2020年度の研究経費は、申請時に記載した使途に加えて,前年度の助成金残額を使用し,解析用物品や消耗品の購入、学会発表、論文投稿時の費用に充てる予定である。
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