2022 Fiscal Year Research-status Report
骨形態は腱板筋群の作用方向に影響を与え投球障害肩発症のリスク因子となるか?
Project/Area Number |
19K19834
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
戸田 創 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40516580)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 骨形態 / 投球障害肩 / 肩甲骨 / 腱板筋群 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は以下の3点を明らかにすることである。1. 健常野球選手の「肩甲骨関節窩傾斜角」と「肩関節外転外旋位における腱板筋群の作用方向」に関係があるか。2. 投球障害肩の既往の有無により、「関節窩傾斜角」及び「外転外旋位における腱板筋群の作用方向」に違いがあるか。 3. 「関節窩傾斜角」が、 投球障害肩の新たな発症、再発のリスク因子となるかどうか。 2019年度は、目的1. 2.を検証するデータの収集に必要な環境整備・被験者調整を行い、16名の野球選手のMRI撮影を実施した。2020年度以降に50名程度の野球選手のMRI撮影を実施予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療機関のMRI機器の使用が困難な状況となり、2020,2021, 2022年度で1名もMRI撮影を実施することができていない。 そのため、すでに撮影済みのMRIデータを用い、本研究で用いる肩甲骨骨形態の計測方法の妥当性を検証する解析を進め、国内学会の発表を行った。(2021年度) 加えて、投球障害肩の既往の有無により肩甲骨の骨形態に違いがあるかを検討し、国内学会での発表を行なった。(2022年度)具体的には、野球選手38名(投球障害肩の既往有り群19名, 既往無し群19名)の投球側、およびオーバーヘッドスポーツの経験が無いコントロール群30名の利き手側のGlenoid version(関節窩傾斜角)、inclination、anterior torsionを比較した報告となる。結果として、既往歴が無い野球選手の肩甲骨関節窩は既往歴が有る野球選手やコントロール群と比較し、retroversionおよびanterior torsionが大きい傾向が認められた。この結果より、「大きな関節窩後傾」や「大きな関節窩前捻」は投球動作で生じる肩関節への力学的ストレスを減少させる適応の一つであると考察している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要に記載の通り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療機関のMRIを用いた実験が実施できていない。2019年度に撮影済みのデータ解析は順調に進んでいるが、当初計画にある「外転外旋位での腱板筋群の作用方向の検討」や「投球障害肩の新たな発症、再発のリスク因子の検証」は実施困難な状況となった。 そのため、補助事業期間を延長し、追加のデータ収集を実施する計画を予定しているが、現状の研究の進捗は「遅れている」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度までに計測したMRI画像を用い学会発表・論文執筆を進める。 また、MRI撮影を実施する医療機関との実験再開スケジュールも調整中であり、追加でのデータ収集を可能な限り実施予定である。
|
Causes of Carryover |
2022年度は、野球選手に対するMRI撮影の再開を計画していたが、研究を実施している医療機関が新型コロナウイルスの重症患者受け入れ病院という特性を有し ているため、感染対策の観点から実験の再開が実現できなかった。2023年度からの実験再開計画を立てており、被験者謝金として支出を予定している。 加えて、すでに解析を終えている研究データに関する成果公表として、学会発表や論文投稿を進める予定である。
|