2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性末梢神経障害合併2型糖尿病患者の歩行時足圧軽減を目的とした運動指導の開発
Project/Area Number |
19K19841
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
鈴木 啓介 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 助教 (50783750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音刺激 / 歩行速度 / 最大足底圧 / 歩行時動揺性 / 筋活動量 / 同時収縮 / 関節角度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は糖尿病性末梢神経障害合併2型糖尿病(DPN)患者の歩行中の足圧を軽減させる運動指導を開発することである。介入方法として音刺激を用い、歩行速度と歩容をコントロールする。 令和元年度は実際にDPN患者への介入として妥当な音刺激のテンポを明らかにするために健常成人(28名)を対象としたデータ測定を実施した。音刺激のテンポは対象者の自己快適速度時のケイデンスから基準となるテンポを算出し、そのテンポの0%、-5%、-10%、-15%、-20%の5条件とした。各条件下で10m歩行テストを実施し、歩行中の最大足底圧、身体重心の動揺性、外側広筋・大腿二頭筋・前脛骨筋・腓腹筋外側の筋活動量ならびに同時収縮、股関節・膝関節・足関節の屈曲伸展角度についてそれぞれ専用の機器を用いて測定した。音刺激のテンポと歩行速度には正の相関が認められ、音のテンポの低下に伴い歩行速度の低下が認められた。また拇指部、母指球部、前足部の最大足底圧については-20%の条件下で最も低い値を示した。さらに最大足底圧の変化と関係する因子を明らかにするために、音刺激0%の条件下と-20%の条件下の変化量を算出し、各指標との相関分析を実施した。その結果、拇指部と関係を示した指標として歩行速度(r=0.49, p<0.05)、歩行中の股関節最大伸展角度(r=0.67, p<0.05)、歩行中の足関節最大底屈角度(r=0.61, p<0.05)が認められた。また踵部と関係を示した指標として歩行速度(r=0.47, p<0.05)、ケイデンス(r=0.54, p<0.05)が認められた。以上のことから音刺激のテンポの低下により最大足底圧を軽減させることが可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度に実施予定であった健常者を対象とした実験により、音刺激のテンポを低下させることで歩行速度のコントロールが可能であること、最大足底圧が低下することが確認できており、おおむね順調と捉えている。令和2年度より健常者のデータから算出した音刺激のテンポを参考にDPN患者を対象とした介入研究を実施し、テンポを遅くした音刺激による最大足底圧への効果について明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は健常者のデータ解析を進めながら同時に研究協力施設への機器操作方法ならびに介入方法における指導を行う。測定環境を整え令和2年度7月よりプレ測定を実施し、1週間の介入が確実に行えるようにデータ測定者と調整を行う。令和2年度8月には本測定を開始し1年間で60名程度の測定を行う予定である。 研究を遂行する課題として、COVID-19の影響により研究施設内への立ち入り制限があり、研究の資材搬入や機器操作指導が計画通り行えない可能性が危惧される。また、対象を糖尿病の教育入院患者を予定しているが、現在感染拡大予防の観点から入院患者が制限されており計画通りのリクルートが行えない可能性がある。
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Causes of Carryover |
計画当初の購入予定であった足圧を測定する機器を変更したことで予定よりも物品費が低くなったことが一番の理由である。 今年度は研究協力施設でデータ測定時に使用予定である、小型無線多機能センサ、生体信号計測機器などの物品購入と対象者への介入時に使用予定である電子メトロノームと歩数計を購入予定である。 また、令和元年度に行った研究成果公表のための旅費や論文投稿料ならびに校正費などに使用していく予定である。
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