2019 Fiscal Year Research-status Report
回復期脳卒中者における障害物回避トレーニングの効果検証
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19K19845
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Research Institution | Kameda University of Health Sciences |
Principal Investigator |
室井 大佑 亀田医療大学, 総合研究所, 客員研究員 (90838179)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 障害物回避トレーニング / ランダム比較試験 / 半側空間無視 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、転倒のリスクが高い脳卒中者に対して、狭い隙間を通過するという障害物回避動作練習を継続的に介入することで、障害物回避能力や歩行・バランス能力を向上させ、さらには6か月後の転倒発生率を軽減させるかどうかを検討することを目的としている。本研究では2つの課題(対象)を設定しており、1つ目は、高次脳機能障害がなく、片麻痺を呈した脳卒中者に対するランダム化比較試験(RCT)であり(課題1:片麻痺研究)、2つ目は、高次脳機能障害として、半側空間無視(Unilateral spatial neglect; USN)症状を呈した脳卒中者に対する観察研究(課題2:USN研究)である。 これまでの研究成果として、課題1の片麻痺研究では、30症例(共同研究先で8症例)の介入研究を実施し(介入群15例、コントロール群15例)、目標の38症例まではあと半年程度で到達すると考えられる。課題2のUSN研究では、2症例の介入を実施したが、今後も多くの症例数は見込めないため、シングルケーススタディとして積み重ねていく予定である。引き続き、これら2つの研究により、転倒を起こしやすい脳卒中者全般に対する隙間通過トレーニングの効果を明らかにしていく。 脳卒中者に対する障害物回避トレーニングの効果や介入方法について詳細に調べるためにシステマティックレビューを実施し、論文化した。Muroi D, Ohtera S, Kataoka Y, Banno M, Tsujimoto Y, Tsujimoto T, Higuchi T. Obstacle avoidance training for individuals with stroke: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open, 2019
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1のRCT研究として、2年間で38症例の介入を予定しており、現在30症例の介入を終えているためおおむね順調に進展しているといえる。6か月後の転倒有無のフォローアップに関しても、15例が完了している。課題2の半側空間無視患者に対する介入研究は、対象症例が少ないために年間1-2例を想定していたことから、こちらもおおむね予定通りととらえている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1の片麻痺研究に関して、2020年度に38症例すべての介入を終了させ(あと8症例)、6か月後のフォローアップのデータまで取得する。また、途中経過までのデータを解析し、学会発表することで、考察に関する議論を深めていく。課題2に関しては引き続き、患者を選定しつつ症例を増やし、高次脳機能障害と障害物回避能力の関係性について、脳神経科学的な視点から考察していく。
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Causes of Carryover |
2次元動作解析ソフトが必要機能のみ分割して購入ができるメーカーがあり、それに変更したため、100万円予定のものが60万円程度で購入が可能であった。そのため、次年度への使用額が生じた。使用計画としては、隙間を形成するためのドアが消耗してきているために、新規購入を予定している(20万円程度)。また、論文発表や学会発表を積極的に実施していき、また共同研究先においても必要な物品を購入していく。
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