2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19848
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Research Institution | University of Tokyo Health Sciences |
Principal Investigator |
生友 聖子 東京医療学院大学, 保健医療学部, 助教 (90515884)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 横隔神経 / 横隔膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者において運動耐容能が低下することは広く知られているが、これまでその原因は骨格筋の代謝異常や微小血管障害によるものであると考えられ、呼吸機能障害についての検討はなされてこなかった。そこで我々は、糖尿病性ニューロパチーによって横隔神経が損傷している可能性に着目し、現在までに、横隔神経運動ニューロンの逆光標識及び横隔膜の運動単位電位の電気生理学的解析から、横隔神経に何らかの損傷が生じている可能性を明らかにしている。この結果は、糖尿病に関連して呼吸運動を制御するシステムに何らかの異常が生じている可能性を示唆しており、これを明らかにするため、令和元年度は、横隔膜及び横隔神経の形態学的解析を行い、呼吸器システムの出力系の状態について検討した。 対象には1型糖尿病ラットを用いて、1型糖尿病発症後、22週間の生存期間を置いた後に横隔神経及び横隔膜を摘出し、実験に供した。横隔神経は、後固定ののちEpon包埋を行い、厚さ1μmの切片を作成してトルイジンブルー染色を行い、横隔神経の軸索・ミエリン鞘の面積を測定した結果、糖尿病群では軸索の減少と断面積の萎縮がみとめられた。これらの結果は、横隔神経の損傷を示唆するものであると考えられるが、対象数が不足しており、現在も染色・分析を進めている。 また、α-bungarotoxin、抗Neurofilament抗体、抗Synaptophysin抗体を用いた神経筋接合部の免疫組織化学染色の手法を確立できており、順次、観察・分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度予定していた形態学的解析は、横隔膜の神経筋接合部について、ホールマウントでの染色プロトコールの確立に時間を要したことからやや遅延している。現在は、プロトコールそのものは確立できており、光学顕微鏡での撮影まで完了しているが、1月以降の実験計画が崩れたことから対象数の確保が十分に行えておらず、また、解析も遅延している。横隔神経軸索の染色についてもまた、Epon包埋までは完了しているが、解析が遅れている。 電気生理学的解析については、横隔膜の収縮特性について検討する予定だったが、技術的な問題を解消できなかったこと、また、実験計画の崩れから、遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
神経筋接合部の染色に関しては、現在得られている染色結果の解析を行っていくとともに、対象数を増やす必要があるため、今後も実験を続けていく。横隔神経軸索の染色についても、解析を進めていく。 横隔膜の収縮特性についての電気生理学的解析については、電極設置位置の検討や用いる電極についての再検討など技術的な問題の解消に努めるとともに、実験計画の見直しを行い、令和2年度に実施する項目に加える。
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