2019 Fiscal Year Research-status Report
神経筋電気刺激療法がオートファジーに及ぼす影響とICU-AW抑制効果
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19K19852
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
飯田 有輝 藤田医科大学, 医学部, 客員講師 (80808741)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ICU-acquired weakness / オートファジー / 末梢血単核細胞 / 神経筋電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
ICU-acquired weakness(ICU-AW)は、ICUの重症患者に合併する重篤な神経筋疾患で、敗血症や人工呼吸器装着患者の20~50%に合併するとされる。その病態は炎症による異化亢進であり、筋蛋白分解経路のひとつであるオートファジーの異常が関与する。 本研究では、第一に重症患者におけるオートファジーの活動状態を確認するため、ICU-AWの発生と関連の強い人工呼吸器装着48時間以上の重症患者を対象としてオートファジー検出キットを用いて検討を行った。当初、患者の動脈血における末梢血単核細胞を抽出する予定であったが、敗血症など重症患者の急性期では、単球はほとんど出現していなかった。そこで全血により比較的gatingしやすい好中球やリンパ球も解析の対象とした。 心臓血管外科術後の患者4例が対象となり、術後48時間以上人工呼吸器を装着が確認できたところで1回目の採血、その後7日目に2回目の採血を行い、オートファジー機能を確認した。併せて、握力や筋力などの身体機能も計測した。7日目の筋力からオートファジー機能をみてみると、筋力が高い症例では術後急性期にあたる1回目採血時のオートファジーの活動は高く、7日目になるとその活動は低くなっていた。しかし反対に7日目の筋力が低い症例では、1回目採血時のオートファジーの活動は低く、7日目になるとその活動は高くなっていた。これは、ICU-AWではオートファジー機能の低下が遷延するとした本研究の仮説とは異なっていた。ただ、ICU-AW例では急性期からオートファジーの活動が低下していると考えれば、より早期からリハビリテーション治療を行う意義があると言える。 今後、第2段階の神経筋電気刺激装置による筋収縮がオートファジーの活動を促進させるかどうかを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初、マーカーとして考えていた単球は重症患者の急性期ではほとんど出現しなかったため、他の単核細胞であるリンパ球や好中球も対象とすることとした。そのためオートファジー検出キットの仕様を変更せざるを得なかった。その仕様変更と準備に時間がかかった。ただし好中球の表面上のオートファジーは検出できれば比較的安定しており、現在は実験系は確立できたといえる。 さらに今年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大防止の影響により、症例取り込みや電気刺激療法が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジーの活動がどの時期に抑制されるかがここまでの検討でおおよそ予測がついた。今年度からは神経筋刺激装置による筋収縮刺激でオートファジー機能にどのような影響を及ぼすかを検討する。電気刺激装置の施行が今年度となったが、今後取り込みできる症例が増えていくと予測され、実験を継続し症例数も増やしていく。
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Causes of Carryover |
当該年度購入予定であった実験器具である神経筋電気刺激装置(1,500,000円)が実験の遅れで購入してされなかったが、次年度購入予定である。
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