2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19856
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
植田 耕造 畿央大学, 健康科学部, 研究員 (80761048)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | lateropulsion / 前庭脊髄路 / 自覚的姿勢垂直位 / 自覚的視覚垂直位 / 脊髄小脳路 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳幹などの脳卒中後にはlateropulsionという不随意的に一側の側方へ傾く側方方向の姿勢制御障害が起こり日常生活に影響を与える。しかしlateropulsionに対する有効なリハビリテーション介入はなく、そもそも『なぜ一側側方へ傾くのか』というlateropulsionのメカニズムが不明のままである。そのため本研究の目的は、lateropulsionの原因と推測される前庭の上行路、脊髄小脳路、前庭脊髄路、自覚的姿勢垂直位の異常を客観的に定量化し、lateropulsionの病態を調べることとした。なお、前庭の上行路は自覚的視覚垂直位で評価し、脊髄小脳路は下肢の運動失調の程度を小脳性運動失調法を用いて評価し、前庭脊髄路は臥位で直流前庭電気刺激後のヒラメ筋のHoffann反射の測定と立位での直流前庭電気刺激後の身体動揺の測定により評価する。 本年度は上記の各評価手法の測定方法の確立に取り組んだ。自覚的姿勢垂直位において、これまで行われている左右どちらかに20°傾斜した位置から垂直へ戻す際の自覚的な身体の垂直を測定するのみでなく、左(右)20°の位置での座位を5分程度保持することが自覚的姿勢垂直位にどのように影響するのかを健常者を対象に予備実験を実施しており、この手法により自覚的姿勢垂直位の変化のし易さを評価できると考え取り組んでいる。自覚的視覚垂直位に関しては従来はBucket法を用いて測定していたが反応性に課題があるため共同研究者らが作成したPCシステムを用いた評価方法を試している。前庭脊髄路の評価に関しては、その再現性や、左右差と利き足の影響、また臥位や座位といった計測姿勢による影響などの調査を共同研究者と行っており、高い再現性を確認でき、また姿勢によって前庭脊髄路の影響が異なることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度内に症例を対象とした実験を開始する予定であったが行えていない。実験機器の導入において、誘発筋電図を測定する機器の在庫不足のため納品が遅れ、測定環境の整備が予定よりも遅れた。また研究代表者の院内業務の多忙のため、測定環境の準備が遅れた。さらに2020年3月頃からは新型コロナウイルスの影響で測定場所である病院内での実験に制限が出ている。 ただし院内での倫理委員会などの審査は通過しており、現在は測定環境は整っているため、実験が可能な状況になってから再開していく予定である。また、世間の状況によっては大学での健常者を対象とした実験を優先して進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、自覚的姿勢垂直位や自覚的視覚垂直位の測定方法の確立を目指す。これは既に取り組み始めている。また、立位での直流前庭電気刺激後の身体動揺の測定に関してはまだ取り組めていないため測定方法の確立を目指す。まずは健常者を対象とし、測定方法の信頼性や妥当性などを世間の状況を踏まえて9月頃を目途に調べていく。この内容に関しては年度内の学会発表を計画している。 各測定方法を確立した後に、脳幹や小脳の脳卒中後症例を対象とし、前庭脊髄路、自覚的視覚垂直位、自覚的姿勢垂直位、運動失調の評価を行い、lateropulsionの原因を調べていく。
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Causes of Carryover |
実験開始が遅れたため、実験に必要となる電極などの消耗品の購入数が少なかった。また同様に実験時間自体は少なくなったため実験の補助をして頂く方への謝金が少なくなった。 次年度は消耗品の購入や実験補助の謝礼、また研究結果を発表する際の学会や論文発表の費用として使用予定である。
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Research Products
(3 results)