2019 Fiscal Year Research-status Report
神経因性疼痛における運動療法効果とそのメカニズムについて
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19K19858
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
角園 恵 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 講師 (20837752)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経因性疼痛 / グリア細胞 / 内因性オピオイド / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、全世界では1500万人以上の患者が難治性疼痛に苦しんでいるといわれており加齢とともに慢性疼痛保有率は増加し、慢性疼痛患者のうち6.9%が神経因性疼痛を有していたとの報告がある。わが国でも神経障害性疼痛に関する大規模調査により、慢性疼痛患者は20~69歳の人口の26.4%、そのうち神経障害性疼痛の疑いがある患者は24.1%を占め、慢性疼痛患者の4人に1人は神経障害性疼痛の疑いがあることが報告されている。そして、日本の高齢化率は急速に進展し、2060年には2.5人に1人が高齢者となることが予測されている。それに伴い、加齢ともに増加する慢性患者の保有率も増加していくことが考えられる。 神経因性疼痛は中枢神経または末梢神経損傷などを契機に発症し、神経細胞が障害され、脊髄後角のミクログリアが活性化、炎症性物質の産生や神経細胞の機能異常により疼痛を引き起こすことが報告されているが、効果的に治療することが非常に困難である。神経因性疼痛の薬理学的治療は限られており、患者の40~60%が疼痛の部分的緩和を得ていないのが現状である。治療に対するヒトや動物における治療効果、メカニズムについて様々な報告がされているが未だ不明瞭な点が多い。 本研究の目的は、神経因性疼痛モデルラットを作成し、運動療法の疼痛緩和効果と脳と脊髄に及ぼす影響を組織学的・免疫組織学的に解明することであり、具体的には比較検討を以下の観点で行う。 ①運動頻度の違いにおける脊髄後角のグリア細胞(ミクログリア、アストロサイト)の変化とμ-オピオイド受容体の変化について明らかにする。 ②中脳水道灰白質でのβ-endorphin/Met-enkephalinの発現量と脊髄後角のμ-オピオイド受容体の関与の検証を行う。 ③運動による海馬におけるグリア細胞の発現量の変化と神経細胞の形態学的検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスの影響により県を越えての移動が困難であるため、基礎実験が可能である鹿児島大学の研究室に出入りすることが困難な状況下であるが、分析に必要な最低限の個体数の試料作製が完了し、現在、海馬の免疫組織学的観察を行っており解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
移動制限の解除が行われ次第、海馬の詳細な解析を進め、中脳水道灰白質でのβ-endorphin/Met-enkephalinの発現量と脊髄後角のμ-オピオイド受容体 の関与の再検証と運動頻度の違いにおける脊髄後角のグリア細胞(ミクログリア、アストロサイト)の変化とμ-オピオイド受容体の変化の検証を急ぎ行う。
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Causes of Carryover |
組織染色に必要な試薬や抗体、研究環境整備のための必要機材の購入、研究報告活動の旅費として使用する。
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