2019 Fiscal Year Research-status Report
頚髄損傷患者の呼吸機能障害が嚥下障害と誤嚥性肺炎に及ぼす影響の解析
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19K19861
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Research Institution | Japan Organization of Occupational Health and Safety, Spinal Injuries Center |
Principal Investigator |
林 哲生 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (00769680)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嚥下障害 / 呼吸機能 / 頚髄損傷 / 誤嚥性肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、頚髄損傷における呼吸機能低下が、嚥下障害や誤嚥性肺炎に及ぼす影響を明らかにすることであるが、現在、頚髄損傷者の呼吸機能検査および嚥下機能の評価を受傷後2週、1ヵ月、2か月、3か月で経時的・前向きに計測している。統計学的な解析は、まだ十分には行っていないが、スクリーニングの統計検査の結果では、嚥下障害と呼吸機能は、相関がある印象であり、仮説のとおり順調に進んでいる。 またこの研究に関連したretrospectiveな研究も同時並行で2つ行っており、日本リハビリテーション医学会や日本脊髄障害医学会で発表予定である。その2つの概要を研究成果として以下に記す。 ①外傷性頚髄損傷における誤嚥性肺炎の発生率と発症時期について検討した。急性期頚髄損傷192例のうち、肺炎は30例(17.2%)に発症していた。そのうち誤嚥性肺炎は26例(14.9%)であり、肺炎のうち誤嚥性肺炎の占める割合は86.7%であった。誤嚥性肺炎の発生時期の中央値は11.5日(範囲:3-88日)であり、受傷後1か月以内が22例(85%)を占めていた。したがって、外傷性頚髄損傷後の肺炎は、誤嚥性肺炎の占める割合が非常に高く、誤嚥性肺炎は受傷後1か月以内の発症が多いため、急性期の嚥下障害には特に注意を要するという結論であった。 ②急性期外傷性頚髄損傷における肺炎の発生率と危険因子を調査した。肺炎は30例(18%)に発症していた。そのうち誤嚥に関係する肺炎は26例(16%)であり、肺炎のうち誤嚥性肺炎の占める割合は87%であった。ロジスティック回帰分析にて、肺炎に対する有意な危険因子は、AIS AまたはB、そして誤嚥の存在であった。すなわち、外傷性頚髄損傷後の肺炎は、誤嚥性肺炎の占める割合が非常に高く、重篤な麻痺や誤嚥は肺炎の有意な危険因子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前向きな調査も順調に行っており、データが蓄積してきている。 後ろ向きな調査も、研究成果が十分想定内であり、学会発表予定であるため、おおむね順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに、前向きな調査を行っていく。呼吸機能検査については、看護部と検査部が連携して行えるようなシステムを作っていく方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響にて、研究会が延期となったため、該当助成金が生じた。延期となった研究会にかかる経費とする予定である。
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[Presentation] Mechanism of dysphagia after acute traumatic cervical spinal cord injury2019
Author(s)
Tetsuo Hayashi, Yuichi Fujiwara, Hiroaki Sakai, Tsuneaki Takao, Yuichiro Morishita, Hironari Kaneyama, Osamu Kawano, Takeshi Maeda
Organizer
ISCoS 2019 (International Spinal Cord Society), November 5-7, 2019, Nice France
Int'l Joint Research
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