2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment a new strategy for attenuating arthrogenic muscle
Project/Area Number |
19K19868
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小田 翔太 高知大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (60795053)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関節因性筋抑制 / 運動イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
関節因性筋抑制(Arthrogenic muscle inhibition: AMI)は、末梢・中枢神経系の機能変化が関与した関節周囲筋の筋出力低下である。AMIは種々の運動器リハビリテーションにおいて考慮すべき病態であるが、その対応策は未だ確立していない。本研究では、AMIに対抗する手段として運動イメージに着目し、ヒト実験的疼痛モデルを用いて検証することを目的とした。健常成人10名を対象に、痛みを誘発する高張食塩水を片側足関節のKager’s fat padに持続投与し、痛みが持続するモデルを作成した。実験はAとBで構成され、実験Aではヒラメ筋の運動神経興奮性の指標であるH/M比、実験Bでは足関節底屈の最大等尺性筋力および下腿三頭筋の筋活動量を測定した。介入は、自身の足関節底背屈運動を撮影した映像を被験者に提示し、3分間実際の運動は行わずにイメージのみを促した。実験Aでは、介入のコントロールとして手指の屈曲伸展運動の映像も提示し、提示する映像の違いによる影響も検討した。評価は、ベースライン(食塩水投与前)、介入前(食塩水投与後の痛みの強度が安定した状態)、介入後(3分間の運動イメージを行った後)、痛みが完全に消失して10分後の4点で行なった。 高張食塩水投与によって、足関節近傍に持続する一定強度の痛みが生じ、等張食塩水投与時に比べ有意に強かった(P<0.01)。痛みが生じた高張食塩水投与時には、H/M比、筋力および筋活動はいずれもベースラインと比較して有意に低下したが、足関節の運動イメージを行うことで改善を認めた。この新しいアプローチは、高価な機器やマンパワーを必要とせず、ほとんどの運動器リハビリテーションにすぐに利用できる点で、非常に有用であり、AMIに対する新規治療戦略の可能性を見出す可能性があると期待する。
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