2020 Fiscal Year Research-status Report
発達性協調運動症児のタイプ分類と感覚統合療法による介入効果の検証
Project/Area Number |
19K19875
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 葉子 (山西葉子) 東京都立大学, 健康福祉学部, 助教 (30423627)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達性協調運動 / 協調運動 / 感覚統合 / ランダム化比較試験 / 効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
協調運動の問題は、日常生活の遂行や遊び、学習課題に影響し自己肯定感の低下につながることが指摘されている。本研究の目的は、1)発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder ; DCD)にみられる、感覚や運動の特徴、併存症によるタイプ分類を行うこと、2)神経基盤の改善に焦点をあてた感覚統合療法(Sensory Integration therapy;SIT)を行うことにより、臨床症状と効果の関係性を明らかにすることである。対象は不器用さを主訴とした、4歳から8歳6ヶ月の参加同意が得られた児24名(男児20名、女児4名)であった。Movement Assessment Battery for Children-2(M-ABC2)、南カリフォルニア感覚統合検査(SCSIT)を実施し、協調運動及び感覚統合機能の問題を確認した。除外項目に該当した児7名を除き、17名の児にランダム化を行った(介入群9名、対照群8名)。介入群には個別の感覚統合療法を、20回実施した。治療前後に保護者と定めた目標に関してゴール達成ガイド(GAS)、日常生活上のニーズの特定にカナダ作業遂行測定(COPM)用いた。途中離脱はなく治療完遂率は100%であった。介入群と対照群間でCOPMは、単純主効果は有意差が認められたが、交互作用は認められなかった。SIT群と対照群間でGASは有意な交互作用を認め,多重比較(Holm法)の結果,介入群、対照群ともに有意に改善を示した。MABC2では4領域中、総合領域、バランス領域にて有意な交互作用を認めた。DCD児の協調運動の問題に対し、一部、SITによる介入の効果を示す結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ランダム化を行い、介入前後の分析までは順調に終えることができたが、対象児の特徴からDCDのタイプ分類や特徴と効果の関連までは分析を終えていない。研究全体の一部が未完了であるため、遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
各成果指標及び、対象者の基礎情報、臨床症状と、介入・非介入群間の関係性について明らかにする。介入効果と対象者の臨床症状とを照らし合わせ、DCDのサブタイプ分類が可能かどうかについて検討することとする。学会報告、国際誌への論文執筆に着手することとする。
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Causes of Carryover |
研究協力者への輸送費用等に計上していた分について、当該年度に実施ができなかった分について未使用額が生じた。また、新型コロナウイルス感染症拡大により、国内外の学会の中止が相次ぎ、未使用額が生じた。21年度の学会参加費用、国際紙投稿、並びに研究協力者へのデータ分析等、郵送諸費用に計上し使用することとする。
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