2022 Fiscal Year Annual Research Report
消化器がん患者の手術後健康関連QOL低下に対する早期回復支援プログラムの開発
Project/Area Number |
19K19880
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
原 毅 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (40807418)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 消化器がん患者 / 健康関連QOL / 早期回復支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化器がん患者が受ける手術治療は、術後の一般的な症状(痛みや疲労など)や手術後の身体機能の低下(筋力や持久力低下など)だけでなく、消化器がんの診断に伴う病期や死への恐怖を誘発するなど精神機能に大きな影響を与えるといわれている。これらのことから、消化器がん患者の健康関連生活の質(HRQOL)は、臨床経過を調査および予測する必要があり、医療従事者は消化器がんの治療後にできる限り早急にHRQOLの改善に向けた介入を実施すべきである。しかしながら、消化器がん患者の健康関連QOLに関する調査や研究は、横断研究あるいは手術後から追跡するコホート研究が多くを占め、手術前から追跡するコホート研究が非常に少ない。また、手術前から実施されたコホート研究は、単施設研究のみであり、結果の一般化に制限がある。 本研究では、日本の急性期医療3施設で周術期消化器がん患者を手術前(手術日より1から2日前)から在宅復帰後(術後早期:術後4週)まで縦断的に調査し、先行研究に基づき影響因子を基礎情報、医学的情報から社会的情報を評価し分析した。結果より、消化器がん患者のHRQOLは、多くの下位尺度が手術前より術後4週で有意に低下し、一般日本人の平均値よりも低値を示した。がん患者の生存率に関連する下位尺度(身体機能、全体的健康感)に最も影響する因子は、同時期の6分間歩行試験の計測値であった。外的基準を下位尺度(身体機能)に設定したROC曲線より6分間歩行試験のカットオフ値を推定した結果、変化量が-7.8m、変化率が-1.5%であった。 消化器がん患者の術後早期のHRQOL改善には、手術前の6分間歩行試験の計測値を基準にできる限り歩行耐久性を維持向上させる必要があり、HRQOLを支援するプログラムに運動プログラムを含めるべきであることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)