2019 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中片麻痺患者の転倒予防に向けた歩行評価に基づく転倒予測システムの構築
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19K19882
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Research Institution | Japan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
荻原 啓文 日本保健医療大学, 保健医療学部理学療法学科, 助手 (40821674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 歩行 / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中片麻痺患者の歩行中の転倒予測には,歩行速度や歩幅などの歩行指標が用いられてきた.しかし,脳卒中片麻痺患者は歩行の非対称性や非定常性といった疾患特有な歩行障害を呈すため,従来の歩行指標からの転倒予測は不十分であり,「歩容(歩き方)」に着目した.本研究は,脳卒中片麻痺患者の歩行中の関節角度を用いた歩容と転倒との関連を明らかにすることを目的としている. 健常成人と脳卒中片麻痺患者数名の歩行中の関節角度データを測定した.関節角度データは歩行中に大きく変動するため,部分的な指標では歩容全体を表すことができず,時系列データの解析を行った.正規化相互相関関数(the normalized cross-correlation)を用いて関節角度から運動学的歩行非対称性の指標を作成した.脳卒中片麻痺患者は健常成人と比較して著明な運動学的歩行非対称性を認めることが明らかになった.また脳卒中片麻痺患者の運動学的歩行非対称性と臨床指標との関連を明らかにし,運動学的歩行非対称性指標の有用性を検討した. 現在は脳卒中片麻痺患者の追加データと地域在住高齢者のデータ測定を開始し,今後は高齢者と脳卒中片麻痺患者との比較も検証していく予定である.脳卒中片麻痺患者の歩行測定時には,関節角度データに加えて従来の歩行指標(歩行速度,歩幅,立脚時間)や臨床指標,転倒歴も測定しており,妥当性の検証や転倒との関連も調査していく予定である. 2019年度は,このように脳卒中片麻痺患者の疾患特有な歩容を表す歩行指標を考案し,作成した歩行指標の有用性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は脳卒中片麻痺患者の疾患特有な歩容を表す歩行指標の考案と有用性の検証のために先行研究をレビューし研究を開始した.正規化相互相関関数(the normalized cross-correlation)を用いた運動学的歩行非対称性の指標を考案した.実際に考案した指標の有用性を検証するために、健常成人と脳卒中片麻痺患者数名の歩行データの比較と臨床指標との関連を検討した.さらなる検証のために高齢者,脳卒中片麻痺患者を対象にデータ測定を開始した.データ測定は順調に進んでおり,測定が終了したデータから解析も始めている.目標サンプル数にはまだ達してはいないが,当初の計画通りにデータ測定も開始できており,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,共同研究施設で脳卒中片麻痺患者のデータ測定を継続して行っていく.地域在住高齢者の測定については,共同研究施設で行う健康増進事業に参加している高齢者を対象に募集による研究依頼を行う.歩行中の関節角度データ,従来の歩行指標(歩行速度,歩幅,立脚時間),バランスや日常生活活動能力などの臨床指標,転倒歴を測定する.臨床でのデータ測定では,目標とするサンプル数を確保していくことが難しい可能性がある.状況によってはデータ測定期間を延長する,もしくは共同研究施設を増やし,サンプル数を確保していく必要がある. 2021年度には得られたデータを基に解析を行っていく.データ数が不足している場合には2020年度から継続してデータ測定を行い,測定が終了したデータから解析を進める形で対処していく.脳卒中片麻痺患者と地域在住高齢者の比較により,脳卒中片麻痺患者の疾患特有な歩容を関節角度を用いた歩行指標から明らかにした後,転倒歴,臨床指標(筋力,バランス,日常生活活動能力等),歩行指標の関連性から歩容と転倒の関連を明らかにする.
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Causes of Carryover |
2019年度購入予定であった物品の購入額が予算枠を超えてしまうため,2020年度請求額と併せて使用する予定である.
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Research Products
(1 results)