2022 Fiscal Year Annual Research Report
閉経後の骨格筋における水分代謝とサルコペニア:運動の予防効果の分子メカニズム
Project/Area Number |
19K19887
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
洪 永豊 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 博士研究員 (40826575)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サルコペニア / エストロゲン / 水分代謝 / アクアポリン / 筋力トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、2021年度から継続して、運動トレーニングによる骨格筋横断面積の変動に及ぼす加齢(閉経)と性差の影響を検討した。中年期と高齢期実験動物を追加して、若年期(4ヶ月齢)、中年期(10ヶ月齢)、高齢期(14ヶ月齢)と老齢期(22ヶ月齢)のF344系雌性および同月齢の雄性ラットを実験動物として用いた。各月齢時に安静飼育群と筋力トレーニング群に分類し計16群とした(各群6-9匹)。トレーニング群にはレジスタンス運動であるクライミング運動を3日に1度の頻度で、尾に装着する重りの重さを調整して1日10回疲労困憊に至るまで運動負荷を8週間実施した。8週間のトレーニング終了後、長母趾屈筋を摘出し、免疫染色法を用いて各筋線維タイプを同定し、筋線維横断面積を評価した。加齢に伴う筋線維横断面積の変化は雄ラットでは加齢による横断面積の減少を認められなかったが、雌ラットでは老齢期に減少することが認められた。さらに雌ラットでは、18ヶ月齢と比べで、24ヶ月齢の安静群において速筋の筋線維タイプⅡx/IIbが有意に減少し(p<0.05)、ヒトのサルコぺニアの表現型を示した。そして雌ラットでは、24ヶ月齢のトレーニング群において安静群と比べで、タイプⅡx/IIbの筋横断面積が有意に増加し(p<0.05)、18ヶ月齢の安静群と同レベルであった。今回、雌においてサルコペニアの表現型を示す実験モデルを確立して、レジスタンス運動によるサルコペニアの予防効果が認められた。今後、エストロゲンや筋力トレーニングが骨格筋の水分量に及ぼす影響の分子メカニズムの詳細を明らかにしていく予定である。
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