2019 Fiscal Year Research-status Report
腎臓リハビリテーションにおける運動療法の生物学的性差とその機序の解明
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19K19888
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小川 佳子 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (90733791)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 腎臓リハビリテーション / 運動療法 / 生物学的性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たな国民病である慢性腎臓病 (chronic kidney disease: CKD) に対する腎臓リハビリテーションプログラムの確立につなげることを目指し、運動の腎保護作用とそのメカニズム、とくに運動の腎保護作用の生物学的性差について明らかにすることを目的としている。食塩負荷により劇症型の高血圧と腎障害を生じるDahl salt-sensitive (Dahl-S) ラットを用いた、われわれのパイロット研究では、8週間の高食塩食負荷とトレッドミル走運動を同時に実施したところ、雄性ラットよりも雌性ラットにおいては腎障害が進展しにくく、また運動の腎保護効果も得られにくいことが明らかとなった。このことから、エストロゲンが腎障害の進展抑制に働いている可能性が考えられた。そこで、本年度は雌性CKDモデル動物に卵巣摘出術をおこなったうえで、尿中タンパク・アルブミン排泄量などを測定し、エストロゲンが腎障害の進展抑制にどれくらい影響を及ぼしているかを検討する予定であった。しかし、本年度は動物飼育施設の改修工事のため、動物を飼育することができず、卵巣を摘出したCKDモデルでの検討は実施できなかった。そのため、研究計画を変更し、パイロット研究のDahl-Sラットのサンプルを用いてより鋭敏に運動の腎保護作用を評価できる指標についての検討をおこなった。その結果、L-type fatty acid-binding protein (L-FABP) の尿中排泄量が腎障害に対する運動の効果を判定するのに有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はCKDのモデル動物を用いた基礎研究であるが、本年度は所属機関の動物飼育施設の改修工事があり、動物を飼育することができなったため、本年度に計画していた研究内容は思うように進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年夏までには所属機関の動物飼育施設の改修工事が終了する予定であるので、動物の飼育が可能となり次第、動物実験を開始する予定である。まずは2020年度に実施する予定であった、卵巣摘出術をおこなったCKD動物における腎障害の進展について検討する。その後、卵巣摘出術をおこなったCKD動物に対する長期的運動の効果を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は動物飼育室の改修工事にて動物飼育ができなかったため、動物購入や飼育のための費用や消耗品等の購入費用などが繰越となってしまった。本年度におこなう予定であった研究は次年度に実施するため、繰越となった費用は動物や消耗品等の購入に使用する予定である。
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