2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者が乳幼児によって惹起される心理脳神経基盤の検証と生活支援ロボットへの展開
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19K19899
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
加藤 健治 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 健康長寿支援ロボットセンター, 室長 (30771216)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活支援ロボット / コミュニケーション支援ロボット / 乳幼児 / 音声 / 心理反応 / 機能的核磁気共鳴法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高齢者を対象として,乳幼児の様々な声や表情によって惹起される心理脳神経基盤を検証するとともに,得られた知見を基に,コミュニケーション支援ロボットの改良に繋げることを目的としている.本年度は,乳幼児の1)笑い声,2)クーイング,3)泣き声の聴取によって惹起される心理反応を検証するため,乳幼児における音声サンプルの収集を進めた.これまで,生後6ヶ月から満1歳未満までの計10名程度の乳幼児を対象として,ICレコーダーを用いて,乳幼児が笑っている間,泣いている間,クーイングしている間の音声を記録した.記録された音声より,1)笑い声,2)クーイング,3)泣き声が含まれる時間帯を切り取り,各種類の音声が15秒程度持続されるように編集した.これらの編集作業により,計300程度の音声サンプルを作成し,各音声サンプルの聞き取りやすさ(背景音や他者との会話の有無など)や自然さに関するアンケート調査を通じて,音声サンプルの質に関わるスクリーニングを行った.次に,若年層および中年層における被験者を対象として,これらの音声サンプルを聴取してもらい,「乳幼児の音声を聞いた際のあなたの快度/不快度」および「乳幼児の音声から感じる乳児の快度・不快度」に関して調査を行った.その結果,乳幼児の笑い声に関しては,世代によらず快度が高い一方で,乳幼児のクーイングや泣き声に関しては,中年層の方が若年層よりも快度が高い等の傾向を認めた.今後は,高齢層も含めた大規模アンケート調査を実施し,子育て経験や孫の有無などの背景因子を含めて,乳幼児の声の聴取に対する心理反応の特徴を明らかにし,世代間の特異性・共通性を明らかにすることを目的として調査を進めたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,乳幼児の音声聴取課題に使用するための音声サンプルの収集・編集作業をほぼ完了し,心理反応実験を進めている.具体的には,乳幼児の1)笑い声,2)クーイング,3)泣き声を収集した音声サンプルを計300程度作成し,これらの音声サンプルを用いて,若年層および中年層の被験者を対象とした音声聴取課題と心理反応に関するスクリーニング調査を開始している.また,「乳幼児の音声を聞いた際のあなたの快度/不快度」および「乳幼児の音声から感じる乳児の快度・不快度」に関して,世代間による心理反応の差異に関する知見を見出しつつある.次に,介護施設に入所している高齢者を対象として,日常生活中の顔の表情に注目した映像記録を実施しており,感情認識人工知能「Affectiva」を利用した動画分析サービス「心 sensor」を利用し,高齢者の21種類の表情や7種類の感情を定量分析する試みを始めている.今後も,これらの分析ツールを利用し,乳幼児の声や表情によって惹起される心理反応に関する検証を進める.さらに,機能的核磁気共鳴法を用いた実験系については,倫理申請を完了し,実験準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,初めに,子育て経験がある,あるいは子育て経験のない計200名程度の若年者および高齢者を対象として,昨年度作成した乳幼児の音声サンプルを聴取した際の心理反応についてアンケート調査を実施する.それによって,各世代における乳幼児の声によって惹起される心理反応の特徴や,世代間による共通性および差異に関する知見を見出すことを目的とする.また,前述の一部の被験者を対象にfMRI計測実験を進めて,同一音声サンプルを聴取しているときの脳賦活領域を分析することで,心理脳神経基盤について言及する.最後に,これまで分析を進めてきた感情認識人工知能「Affectiva」を活用して,赤ちゃん型コミュニケーション支援ロボットと触れ合っている最中の高齢者の顔動画を撮影し,21種類の表情や7種類の感情変化を定量分析する.これらの検証を通じて,得られた基礎的知見を基に,コミュニケーション支援ロボットの有用性を検証するとともに,ロボットの改良方針について策定する.
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Causes of Carryover |
購入予定だったfMRI計測備品が,共同研究先の実験実施機関にて保有していたため,未使用分を,追加で実施するアンケート調査に係る被験者謝金に割り当てる.さらに,学会の中止やオンライン化など出張自体の取りやめが相次いだため,次年度使用額が生じた.
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