2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢者が乳幼児によって惹起される心理脳神経基盤の検証と生活支援ロボットへの展開
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19K19899
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
加藤 健治 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 健康長寿支援ロボットセンター, 室長 (30771216)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生活支援ロボット / コミュニケーション支援ロボット / 乳幼児 / 心理反応 / 機能的核磁気共鳴法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高齢者を対象として,乳幼児の様々な声や表情によって惹起される心理脳神経基盤を検証するとともに,得られた知見を基に,コミュニケーション支援ロボットの改良に繋げることを目的としている.本年度は,初めに,乳幼児の音声サンプルのスクリーニングを行った.これまで,生後6ヶ月から満1歳未満までの計10名程度の乳幼児を対象として,ICレコーダーを用いて,乳幼児の笑い声,クーイング,泣き声が含まれる時間帯を切り取って計300程度の音声サンプルを作成した.そして,各音声サンプルの聞き取りやすさ(背景音や他者との会話の有無など)や自然さに関するアンケート調査によって,計150の音声サンプルを選定した.次に,これらの音声サンプルを用いて計200名以上の大規模Webアンケート調査を実施した.具体的には,若年女性群(出産経験無し),若年女性群(出産経験有り),高齢女性群(出産経験無し),高齢女性群(出産経験有り)を対象として,約150個の幼児の音声サンプル(笑い・クーイング・泣き)を聴取した際の心理反応を回答する課題を実施した.各音声ファイルの聴取後に「乳幼児の音声を聞いた際の自身の快度/不快度」および「乳幼児の音声から感じる乳児の快度・不快度」について回答してもらい,乳幼児の声の種類,対象者の年齢層,出産経験の有無による心理反応の差異について検証した.その結果,各幼児の声において,対象者の年齢層や出産経験に依存して異なる心理反応が存在することを発見した.今後,得られた成果を基に,論文投稿を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果として,乳幼児の音声聴取課題に使用するための音声サンプルの収集・編集作業が完了し,計200名以上のWebアンケート調査による心理反応調査を完了した.その結果,「乳幼児の音声を聞いた際のあなたの快度/不快度」および「乳幼児の音声から感じる乳児の快度・不快度」において,出産経験や年齢層による心理反応の特徴が存在することを発見した.次に,得られた知見を基に,コミュニケーション支援ロボットの社会実装に繋げる試みの一つとして,近隣の介護施設にて赤ちゃん型コミュニケーションロボットの導入を開始している.また,日常生活中の顔の表情の映像記録から感情認識人工知能「Affectiva」を用いて,21種類の表情や7種類の感情変化を定量分析することができた.今後は,これらの分析ツールを活用し,赤ちゃん型コミュニケーション支援ロボットと触れ合っている最中の入居者の心理反応に注目した研究に展開し,介護現場における支援ロボットの導入ならびに普及に繋げたい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,200名以上を対象とした乳幼児の声の聴取に対する心理反応について調査した結果をまとめて論文投稿を目指す.さらに,これらの心理学研究を基に,介護現場におけるコミュニケーション支援ロボットの活用を提言していきたい.すでに,研究所近隣の介護施設にて市販化されている赤ちゃん型コミュニケーション支援ロボットの導入を開始しており,一部の入居者の方に使用いただいている.現在,同時に予備検証を続けている感情推定技術を用いることで,介護現場におけるコミュニケーション支援ロボットの有用性について検証を続ける予定である.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,本年度の研究において得られた調査結果を基に,より詳細な解析を行う必要性があったためである.また,新型コロナウイルス蔓延の影響により,学会の中止やオンライン化など出張自体の取りやめが相次いだ.次年度の使用計画としては,先述の調査結果に対するより詳細な解析を実施するとともに,それらをまとめて研究成果として論文の執筆と投稿などを予定している.
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[Journal Article] Design of a demonstration space, the “Living Lab,” for monitoring daily activities in the older adult and the assessment of assistive technologies2022
Author(s)
Kato K, Yoshimi T, Shimotori D, Aimoto K, Itoh N, Okabe K, Kubota N, Hirata Y, and Kondo I.
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Journal Title
Proc. 10th International Symposium on Computational Intelligence and Industrial Applications
Volume: C2-4
Pages: 1-7
Peer Reviewed
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