2020 Fiscal Year Research-status Report
歩行パラメータ分析による老年症候群の予測因子に関する縦断的研究
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19K19910
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川田 将之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30783477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歩行パラメータ / 地域在住高齢者 / 加齢 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は2018,2019年度に計測したデータを基に,地域在住高齢者の歩行パラメータと各種測定項目等の関連についての解析を行った。使用した歩行パラメータは,ウェアラブル慣性センサーによって得られた骨盤・両側の大腿・下腿・足部の加速度・角加速度・傾斜角度から算出した。 骨盤加速度より自己相関係数を用いて算出した歩行の定常性・対称性を用いた解析では,以下の点が明らかとなった。①地域在住高齢者において,下肢の筋量に左右差が存在した場合,歩行の定常性が低下し,特に筋量の低下がある場合に顕著にみられる,②地域在住高齢者は,加齢に伴い,骨盤の前後および左右の定常性が低下する,③地域在住高齢者において,歩行の鉛直方向における定常性・対称性は認知機能と関連し,軽度認知症(MCI)を有する高齢者においては,それらが低下する。 また,大腿・下腿の傾斜角度から,膝関節角度を算出した結果,地域在住高齢者において,歩行中の膝関節最大屈曲角度が低下することが明らかとなり,この要素は歩行速度の影響を除去しても同様であった。 さらに,Walk Ratio (歩幅を歩行率で除したもの)に,男性では握力,女性では骨格筋量が影響し,関節角度においては,男性では股関節伸展角度・足関節底屈角度・TLA,女性では足関節底屈角度・TLA が関連することが明らかとなった。 これらの結果から,地域在住高齢者において,加齢や認知機能といった要素に,歩行パラメータが関連していることが明らかとなった。今後はさらに解析データを増やし,縦断的に解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,複数年のデータを使用し,縦断的な解析を行い,予測因子の検討を行う予定であったが,解析がまだ十分に行えておらず,横断的な解析にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらにデータを整理し,縦断的な解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響でデータ計測が行えなかったため、その際に必要な人件費および旅費を使用しなかった。 また,同様の理由で学会発表も全てWeb開催となったため,旅費を使用しなかった。 データ解析結果の論文作成・投稿が行えず,投稿料として使用しなかった。 2021年度はデータ計測が行われる予定のため,人件費・旅費等に使用する予定である。また,論文での成果発表も積極的に行っていきたい。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 地域在住高齢者における加齢による歩容の変化2020
Author(s)
荒木草太, 木山良二, 牧迫飛雄馬, 川田将之,宮﨑宣丞, 竹下康文,中井雄貴, 林浩之, 東直人, 窪薗琢郎, 中村俊博, 竹中俊宏, 大石充
Organizer
第57回日本リハビリテーション医学会学術集会
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