2019 Fiscal Year Research-status Report
腰痛による労働者の出勤状況と医療費支出に影響する二次予防戦略を含む因子の特定
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19K19912
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
高崎 博司 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (60404779)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腰痛 / アウトカム / マッケンジー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目指すところは、腰痛による労働者の遅刻・早退・休職率と医療費支出に影響する因子を特定し、その影響を最小化するための有効な二次予防戦略を創造することである。そこで、本研究の目的は、労働者における腰痛に対して、①マッケンジー法を用いた腰痛の二次予防戦略は従来の徒手療法による腰痛の二次予防戦略に比べて腰痛による労働者の遅刻・早退・休職率と医療費支出を軽減させるのかを明らかにすることと、②二次予防戦略にどのような要因が組み合わさることで労働者の遅刻・早退・休職率と医療費支出が軽減もしくは増加するのかを明らかにすることとした。本研究目的を達成するために、当初は整形徒手理学療法(OMPT)の国際インストラクターとマッケンジー法(MDT)の国際インストラクターによる治療に伴う医療費と休業・遅刻・早退の推移を追っていくことを計画していたが、内諾を得ていたOMPT国際インストラクターから研究協力の辞退があり急遽研究計画を見直す必要が生じた。 腰痛による労働者の遅刻・早退・休職率と医療費支出には様々な因子の関与が予測される。中でも、二次予防において腰痛に対するセルフマネージメント能力の獲得は重要な因子であると考えられる。本申請者のこれまでの研究で、マッケンジー法によってセルフマネージメント能力が向上することを明らかにしている。マッケンジー法を行う施術者には、基礎的なレベルを有すると保証されたクリデンシャルセラピストと、高度なレベルを有すると保証されるディプロマセラピストがいる。そこで、当初の最終的に目指すところを変えずに、当初の研究目的①を新たに以下のように変更した: マッケンジー法ディプロマセラピストはクリデンシャルセラピストよりも腰痛の二次予防戦略を通じて腰痛による労働者の遅刻・早退・休職率と医療費支出を軽減させるのかを明らかにすることと。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は整形徒手理学療法(OMPT)の国際インストラクターとマッケンジー法(MDT)の国際インストラクターによる治療に伴う医療費と休業・遅刻・早退の推移を追っていくことを計画していたが、内諾を得ていたOMPT国際インストラクターから研究協力の辞退があり急遽研究計画を見直す必要が生じた。そこで、MDTのクリデンシャル資格(基礎的な資格)を有する治療者とディプロマ資格(高度な資格)を有する治療者に協力を仰ぎ、OMPTかMDTかという2次予防戦略の違いではなく、MDTの資格レベルの違いを2次予防戦略の違いとすることに変更した。 2019年9月に研究計画変更後の研究倫理許可が下り、マッケンジー法について案内している日本全国のマッケンジー法認定資格者に協力を求め、2020年2月から本格的なデータ採取を全国的に開始している。200名の1年間に渡るコホート研究を予定しており、本格的なデータ採取を開始した2月は14名の新規被験者を取り込み、当初計画していた2021年4月までに被験者取り込みを終了させうる見込みが立った。しかしながら、新型コロナ感染症による影響で、研究協力施設の休業や外来診療中止が発生し、被験者取り込みのスピードが急速に減少している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更に伴うデータ採取開始の遅延と新型コロナ感染症による全国的な研究協力施設の休業や外来診療中止の影響で、データ採取は2021年の12月末まで延長し、2021年度内に解析を終えて報告書を作成する予定に変更する。 新型コロナ感染症による影響が非常に大きく、現状では被験者取り込みの障害を克服する有効な打開策が見つけられない状況においては、今後のデータ採取状況によっては、独立変数を減らしてサンプルサイズを縮小して解析を行うことも視野に入れて研究を進める。また、腰痛による労働者の遅刻・早退・休職率と医療費支出の本研究における独立変数であるアウトカムの信頼性・妥当性の検証も行う。
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Causes of Carryover |
被験者への謝礼はQUOカードで行うことにしたため、名目上物品費に計上されている。しかしながら、当初予定していた人件費・謝礼額には未使用額がある。これは研究立案時には内諾を得ていた研究協力者の辞退があり急遽研究計画を変更する必要が生じ、その結果データ採取開始が遅れたためである。それによる被験者への謝礼が少なくなったことで令和2年度への繰越金が発生した。この急な変更は、本研究を立案した時点では想定することが出来なかった。昨年度の人件費謝金の余剰分は今年度の被験者へのQUO謝礼(名目上物品費)として充てる。また、腰痛による労働者の遅刻・早退・休職率と医療費支出に対する本研究の独立変数であるアウトカムの信頼性・妥当性検証の成果発表(英文校正費や出版費:名目上その他)としても充てることとする。
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