2020 Fiscal Year Research-status Report
腰椎骨盤の回旋因子に着目した腰痛者のための運動療法の構築
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19K19931
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
末廣 忠延 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (90633850)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腰痛 / 股関節外転運動 / 筋活動 / 運動制御 / 腰椎骨盤の安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,腰痛者の股関節外転テスト時の骨盤の過剰な動きに関連する因子を解明し,関連が認められた因子を改善させる運動療法を構築し効果を検証することである。 2020年度は、2019年度に実施した健常者での股関節外転時の骨盤動揺と体幹筋厚、体幹筋力、腰部関節位置覚との関係について研究成果をまとめ論文投稿を実施した。さらに下記2つの研究についてのデータ収集やデータの解析および研究成果の発表の準備を行った。 1つめ研究として、腰痛者では下肢運動時に健常者と異なる筋活動パターンを呈し腰椎骨盤の安定性の低下が生じると仮説を立て、健常者と再発性腰痛者それぞれ17名の股関節外転時の筋活動開始時間を表面筋電計にて計測し筋活動パターンの差を明らかにした。その結果、再発性腰痛者では、脊椎の分節的な安定性に関与する腹横筋と内腹斜筋の重層部や脊柱起立筋群の活動が遅延することが明らかとなった。このことから腰痛者では、筋の活動遅延により腰椎骨盤部の安定性が低下し、腰椎骨盤部の反復微細損傷を生じさせ腰痛の再発や慢性化につながる可能性が示唆された。この研究成果は、次年度実施される学会で公表予定となっている。 先行研究では、股関節外転テストで骨盤の過剰な回旋が生じる者は,長時間の立位で腰痛が発症すると報告しているが、再発者腰痛者が股関節外転時に過剰な骨盤の回旋を示すかは明らかとなっていない。そこで2つめの研究として、再発性腰痛者では下肢運動時の骨盤の動揺が大きくなると仮説を立て、健常者と再発性腰痛者の股関節外転運動時の骨盤の回旋の程度とそれに関連すると思われる腰部の関節位置覚や体幹筋の筋力・筋厚の測定を実施した。現在、健常者と再発性腰痛者ともに予定していた20名の測定が完了し、データ解析を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に新型コロナウイルス感染拡大防止の措置のために研究データの取得が遅れていたが、2020年度は、予定していた健常者と腰痛者の股関節外転運動時の体幹筋の筋活動をすべて取り終え、データ解析と学会演題登録をすることができた。また元々2020年度の予定であった腰痛者の股関節外転運動時の骨盤動揺と体幹の筋厚、関節位置覚、筋力についてのデータ収集についても実施できたためおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度で得られた健常者と腰痛者の筋活動パターンの差についての成果を第9回日本運動器理学療法学術集会にて発表する。また論文執筆を行い、論文投稿にて研究成果を公表していく。 また2020年度に実施した腰痛者の股関節外転時の骨盤動揺と体幹の筋厚、関節位置覚、筋力についてのデータ解析を進め、学会発表と論文作成に取り組む。 加えて、上記の研究で得られた研究結果に基づいた腰痛者の運動療法を考案し、効果の検証を実施する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響のために発表を予定していた学会が中止となり、その分の参加費・旅費が執行されていない。次年度は、学会発表および情報収集のための学会参加等の旅費、英語論文作成に関連する英文校正費、論文投稿費、被験者に対する謝礼品、腰痛に関する図書購入費、介入研究時に使用するマット、タブレット、モバイルモニターの購入に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)