2020 Fiscal Year Research-status Report
サッカーにおけるゴールキーパーの守備能力評価指標の開発と主観的評価との比較
Project/Area Number |
19K19941
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平嶋 裕輔 筑波大学, 体育系, 特任助教 (60825074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サッカー / ゴールキーパー / クロス / ブレイクアウェイ / 客観的評価 / ロジスティック回帰分析 / ゲームパフォーマンス分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、サッカーにおけるゴールキーパー(以下GK)の「クロス対応」及び「ブレイクアウェイ」能力を客観的に評価する指標を開発することである。本目的達成により、GKの全守備能力を数値化することが可能になり、先発選手の選択や選手獲得に有益である。さらに本研究では、開発した評価指標を用いた客観的評価と主観的評価による評価の比較を行い、開発した客観的評価指標の有用性についても検討を行いたいと考えている。 計画2年目である2020年度は、当初、構築された回帰式の検証を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、研究対象試合としていたEURO2020の延期が決まった。そのため研究計画を入れ替え、「クロス対応」及び「ブレイクアウェイ」能力を評価する客観的評価指標を開発し、それらと「シュートストップ」能力の客観的評価指標の有用性を指導者(GKコーチ、サッカーコーチ、サッカー及びフットサル以外の競技を指導しているコーチ(以下 異競技コーチ)の3群)の主観的な評価との比較から検証した。 以下、その結果である。 (1)「シュートストップ」能力の評価は、主観的な評価においてGKコーチ群のみ軽度な一致が認められた。しかし客観的評価指標を用いることにより、全ての群のコーチが、GKコーチ同様の評価を行えた。 (2)「クロス対応」能力の評価は、主観的な評価においてGKコーチ群及び異競技コーチ群において高度な一致、サッカーコーチ群において中程度な一致が認められた。しかし客観的評価指標を用いることにより、全ての群のコーチが、より共通した評価を行えた。 (3)「ブレイクアウェイ」能力の評価は、主観的な評価においてサッカーコーチ群は中程度な一致、GKコーチ群は軽度の一致が認められた。しかし、客観的評価指標を用いることにより、全ての群のコーチが、GKコーチ同様の評価を行えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度であった2019年度は「クロス対応」及び「ブレイクアウェイ」のプレー失敗確率を予測する回帰式を構築した。それに加え、追加のゲームパフォーマンス分析とGPSデバイスを用いた分析を実施することが出来た。 そして研究2年目であった2020年度は、当初、構築された回帰式の検証を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により対象試合としていたEURO2020は延期となり、2021年に実施されることが決まった。そのため、研究実施順序を前後入れ替え、2020年度は「クロス対応」及び「ブレイクアウェイ」能力を評価する客観的評価指標を開発するとともに、それらと「シュートストップ」能力の客観的評価指標の有用性を指導者の主観的な評価との比較から検証した。つまり、研究実施順序こそは入れ替わったものの、コロナウイルス感染症の影響を受け研究が止まっているということはなく、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
残る研究課題は構築した回帰式の検証である。研究順序は前後入れ替わったものの、延期されていたEURO2020も今年6月に開催予定であることから、最終年度に残りの研究課題を実施することにより、順調に研究を進めることができると考える。また最終年度として、得られた研究成果を論文及び学会発表により積極的に公開する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、研究補助者を雇用し実施する予定であった研究課題の実施が次年度に繰り越しとなり人件費を使用しなかったことと、参加予定であった3つの学会大会がWeb開催となったため旅費を使用しなかったことで、次年度使用額が約10万円発生した。 繰り越し金は、次年度に予定している研究課題の実施に伴う人件費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)