2020 Fiscal Year Research-status Report
フィットネスー疲労モデルを用いた女性陸上競技者のコンディショニング法の確立
Project/Area Number |
19K19942
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
山元 康平 福井工業大学, スポーツ健康科学部, 講師 (00806193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トレーニング / コーチング / フィットネスー疲労モデル / 数理モデル / セッションRPE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,女性陸上競技者を対象に,フィットネスー疲労モデルにもとづくコンディショニング法を確立することである.そのために,[研究課題1]女性陸上競技者のフィットネスー疲労モデルからみたトレーニング負荷とパフォーマンスおよびコンディションの変化の関係(1-2年目),[研究課題2]フィットネスー疲労モデルにもとづくコンディショニングの有用性(2-3年目),について検討する. 令和2年度は,前年と同様の方法でトレーニングのモニタリングを継続するとともに(研究課題1)、前年度の研究結果をもとに,トレーニングへの介入を行った(研究課題2).具体的には,準備期(試合の実施されない時期,11月-3月)において,セッションRPE法およびトレーニング負荷を用いた数理モデルによるFitness, FatigueおよびPreparednessをもとに,トレーニング負荷を調整し,トレーニングプログラムの立案を行った.また,試合期では,試合前の調整(テーパリング)において,同様にトレーニング負荷の調整とトレーニングプログラムの立案を行った.その結果,準備期の前後において,基礎的な筋力(ハングパワークリーン1RM)やジャンプ能力(垂直跳,ドロップジャンプ,立五段跳),疾走能力(30m走)等が,前年度に比して顕著に向上する事例がみられた.また,試合前のテーパリングにおいて,従来よりもトレーニング負荷を抑制したテーパリングプログラムを採用することで,試合当日におけるPreparednessが高値を示し,シーズン最高記録を更新する事例がみられた.これらはいずれも少数の事例的結果であるため,今後も同様のトレーニングのモニタリング,分析,プログラム修正を継続し事例を蓄積することで,陸上競技者におけるRPE法およびフィットネスー疲労モデルを用いたコンディショニング法の確立を試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,2年目はトレーニングおよびパフォーマンスデータの収集および数理モデルの精度の確認を継続するとともに,数理モデルを用いたパフォーマンスおよびコンディションのシミュレーションデータを用いたトレーニングへの介入を行い,フィットネスー疲労モデルにもとづくコンディショニングの有用性について検討する計画であった.一方,新型コロナウイルスの感染拡大に伴うトレーニング活動の停止や競技会の延期・遅延等により,一部のトレーニングやパフォーマンスに関するデータ収集やトレーニング介入を計画通り行うことができなかった.今後は,継続してトレーニングおよびパフォーマンスデータの収集とトレーニング介入を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度では,データの収集および数理モデルを用いた解析を継続し,フィットネスー疲労モデルを用いたパフォーマンス予測の精度の検証を進める予定である.また,トレーニング内容とセッションRPEとの関係と,先行研究から各種運動の力学および生理学的負荷情報を整理し,トレーニング手段・方法別にトレーニング強度係数を設定することで,セッションRPE法を応用したトレーニング負荷の定量法の確立を試みる.また,これらトレーニング負荷とパフォーマンス・コンディションの変化の関係にもとづき,個々人に応じたトレーニングプログラムを作成し,トレーニング介入を行う予定である. さらに,得られた研究成果をもとに,陸上競技者におけるセッションRPE法およびトレーニング負荷を用いた数理モデルによるコンディショニングについて,①トレーニング負荷をもとにしたパフォーマス予測の有用性,②準備期におけるトレーニングプログラムの立案における有用性,③試合前のテーパリング期間におけるトレーニングプログラムの立案における有用性,に関する研究発表および論文投稿を行う予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴うトレーニング活動の停止や競技会の延期・遅延,学会等の中止等により,一部のトレーニングやパフォーマンスに関するデータ収集やトレーニング介入、学会参加に関わる費用の支出が発生しなかった.令和3年度は対象者の拡大を目指すため,当初計画通り使用する.
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