2020 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋の質的調節機構の解明とサルコペニア克服への応用-筋核に着目した検討-
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19K19945
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿藤 聡 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 特別研究員(ポスドク) (20825731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 加齢 / 骨格筋 / 筋核 / 骨格筋肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課発題では加齢による骨格筋量あたりの揮張力低下(質的低下)の機序解明と効率的な改善施策の開発を目的とし、骨格筋機能の加齢変化に対する筋核の役割について検討を進めている。 本年度は加齢による筋核の配置異常をきたす候補因子として注目している中間径フィラメントDesminについて、骨格筋における過剰発現モデルの作成を行い表現型の評価を行った。具体的には以下の実験を行た。 雄性の若齢C57BL/6Jマウスを対象にDES遺伝子発現AAVベクターを右後肢腓腹筋に筋肉注射により投与し(左腓腹筋には対象コントロールとしてGFP発現AAVベクターを投与した)、二週間の通常飼育を行った。二週間後、筋収縮機能の指標として経費電気刺激による等尺性足底屈トルクの測定を行い、腓腹筋を試料として採取した。採取した試料は骨格筋量、筋タンパク質合成、Desminタンパク質発現量、Desminと同様にZ膜を構成するタンパク質であるα-actininの発現を評価した。 Desmin発現ベクター投与により腓腹筋のDesmin発現量は対象脚の約2.5倍に増加し、加齢マウスの腓腹筋で観察されたDesminの蓄積と同程度の増加を惹起出来た。一方、等尺性足底屈トルク、骨格筋量並びに筋タンパク質合成に対する影響は認められなかった。またDesminと同様に筋原線維のZ膜を構成するα-actininの発現量にも変化は認められなかった。 このことから、少なくとも2週間のDesmin発現ベクター投与によるDesminの蓄積は腓腹筋の収縮機能および筋量には影響を与えない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の目的としていた実験動物を対象にdesmin過剰発現モデルを作成と表現型の確認を行うことが出来た。一方で組織化学的な解析、またより長期的なDesmin発現状態がもたらす影響について十分な検討が行えていないため、本研究課題の進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Desminの過剰発現が筋核の細胞内局在に及ぼす影響について組織化学によって観察を行う。さらにより詳細な筋収縮機能についての検討を行うため、スキンドファイバーを用いた単一筋線維の張力の測定を行う。また4週間以上のより長期的なdesmin発現が骨格筋機能に及ぼす影響について検討を進める。
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Research Products
(3 results)