2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19957
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
欠畑 岳 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (80824606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スプリント / 筋活動 / 神経制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、短距離走(スプリント)のコーチング現場に科学的な根拠を提示するため、トップスプリンターの走動作およびそれを制御する神経機構を包括的に解明することである。 本年度(2019年度)は、研究課題①:スプリンターのスムーズな走動作に関わる『Switch』の検討、研究課題②:スプリントのシザース動作を可能にする筋活動の特徴(両脚の検討)を解明するために、実験を行った。 被験者は陸上競技選手18名とし、全天候型陸上競技場におけるスプリント時の筋活動を無線筋電装置(DELSYS, Trigno Wireless Sensor)で記録した。被験筋は、両側の大腿直筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、腓腹筋とした。同時に走動作をハイスピードカメラで追従撮影し、接地と離地の瞬間を判断しピッチとストライド長を算出した。また、光電管で分析区間20mの平均タイム(平均走速度)を算出した。また、ランニングサイクルにおける片脚および両脚のそれぞれの筋活動の開始(Onset)と終了(Offset)のタイミング(%Time)を算出し、走速度、ピッチ、ストライドとの相関関係を検討した。 その結果、片脚における主動筋と拮抗筋の切り替えの能力の指標である"Switch"がピッチと有意な相関関係が認められた。さらに、両脚の主動筋の協調性を示す"Scissors"のタイミングとピッチに有意な相関関係が認められた。 これらの結果は、ピッチの高い選手は、接地脚の大腿二頭筋の活動に対し早いタイミングで反対脚(スウィング脚)の大腿直筋を活動させることで、高いピッチを獲得している可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は研究課題①、②に対応する実験と解析・分析を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究課題③として、スプリントにおける四肢の協調性(両脚両腕の検討)に対応する実験を進める予定である。ただし、新型コロナウイルスの影響により、実験系がいつ再開できるか目途が立たない現状がある。2020年度は、実験系を控え2019年度に得られたデータを用い、全力疾走時だけでなく、最大下努力度における走運動を含めた筋活動のタイミングと走速度、ピッチ、ストライドとの関係を検討していくことも視野に入れる。
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Causes of Carryover |
初年度に購入予定であった機材の一部(物品費)は、研究課題③にて必要であるため2020年度以降にいて導入の予定とする。また、人件費については別予算からの支出としたため、当初の使用額との誤差が生じた。
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Research Products
(1 results)