2021 Fiscal Year Annual Research Report
筋タンパク質合成シグナルの応答性に着目した、新たなトレーニング効率化手段の開発
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19K19963
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹垣 淳也 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員 (10824055)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レジスタンス運動 / レジスタンストレーニング / 骨格筋肥大 / MAPK / Sarcolipin |
Outline of Annual Research Achievements |
レジスタンストレーニングは骨格筋量を維持・増大させる手段の一つとして、医療・スポーツの現場で広く用いられている。一方で、トレーニングを長期的に行うと、経過に伴い運動効果が減弱し、筋肥大効果が得づらくなっていく。本研究は、そのメカニズムを解明し、運動応答の鈍化抑制によるトレーニング効果の向上を目指すものである。 これまでの研究で、トレーニングに伴う筋肥大応答の減弱メカニズムとして、メカニカルストレスに応じて活性化するMAPKの応答減弱が関与している可能性を見出した。昨年度はさらに、機械的刺激の受容機構のタンパク質発現の変化の関与について検討し、それが否定的であることが示唆されていた。本年度はさらに、MAPKの活性化を導くMAPKKの変化について検討を行った。雄性SDラットを対象にレジスタンス運動を10回実施させ、初回と10回目のMEK1/2のリン酸化応答を比較したところ、10回目において応答性が減弱していた。このことから、トレーニングの経過に伴うMAPKの応答減弱には、上流シグナルの応答性低下が関与している可能性が示唆された。また、筋肥大応答を減弱させる別のメカニズムとして、骨格筋内の非ふるえ熱産生に関わる因子であり、その過剰発現によって筋分化因子の発現が抑制されるSarcolipinの発現変化について検討を行った。雄性SDラットを対象にレジスタンス運動を実施させ、1・5・10回目の3時間後における発現を比較したところ、1回目では変化が生じていないものの、10回目では発現が増加していることが観察された。従って、MAPKの応答減弱のみならず、Sarcolipinの発現増加も長期的なトレーニングにおける筋肥大応答を減弱させていると考えられ、このような因子の発現・応答変化を抑制する介入を併用することで、トレーニング効果を向上させられる可能性が示唆された。
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