2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K19965
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松竹 貴大 関西大学, 人間健康学部, 特任体育講師 (90737074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サッカー / 情報処理 / 非意識反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの脳には後付けで自分の行動や認識の意味を書き換え,再構成する機能がある.これは「ポストディクション」と呼ばれており,ヒトの非意識的反応に関する一つの知見である.サッカーのように,短い時間スケールでプレーを選択する競技場面では,自覚的な意識や認識を伴う反応だけではなく,非意識的な反応も行っている.そのため,サッカー選手は,プレーを選択する場面において,身体の反応からその行動の意味を認識する「ポストディクション」に近い体験をしている.これらの知見を基に,本研究ではヒトの知覚・認知・行動のメカニズムを理解するために,以下2つの研究課題を設定した. (課題1) 熟達したサッカー選手の感覚信号に対する迅速な行動(運動・反応)は,意識として脳が評価するよりも前に起こり得る反応であるのか.(課題2) 競技レベルや熟練度の違いは,行動と脳の情報処理過程にも影響を及ぼすのか. 今年度の成果として,課題1については、熟練したサッカー選手を対象として,実際の競技場面を想定した選択反応課題における事象関連電位と筋電図反応時間の測定を行う実施計画を立て,準備をおこなった.しかしながら、2020年3月に予定していた実験がコロナウイルスの影響で大学の施設が使用できなくなり,また実験参加者も確保できなくなったため,延期となり実験が実施できなかった. 課題2については,競技レベルの異なる大学生サッカー選手161名を対象として,情報処理機能に関するテスト(プレー記憶課題,Design Fluencyテスト)を実施した.結果,プレー記憶課題において,競技レベルが高い全国大会優勝経験のある選手達は,ほかの選手たちと比較して正答率が高かった.また,両テストの関連性においては正の相関が認められた.以上の結果は,熟練度の高い選手と低い選手は行動と脳の情報処理にも少なからず違いがあることを示す一つの知見となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,2つの課題を設定しており課題1と課題2で各実験を行う計画をたてた.課題1については,熟練したサッカー選手を対象として,実際の競技場面を想定した選択反応課題における事象関連電位(Event related potentials:ERPs )と筋電図反応時間(Electromyographic reaction time:EMG-RT)の測定を行う実施計画をたて,実験器材の購入及び実験の準備を行い2020年3月に実施予定であった.しかしながら,コロナウイルスの影響で大学の施設が使用できなくなり,また実験参加者も確保できなくなったため,延期となり実験が実施できなかった.延期した実験については,社会情勢に合わせて実施予定であるが,不測の事態であるため実施時期は未定である. 課題2については,競技レベルの異なる大学生サッカー選手161名を対象として,情報処理機能に関するテスト(プレー記憶課題,Design Fluencyテスト)を2019年7月に実施した.研究成果については2019年8月の日本体育学会にて発表を行った.更に,2020年夏に発表予定であった国際学会についても渡航が出来なくなり発表も取り消しとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題1の実験については,コロナウイルスの収束と社会情勢に合わせて実施したい.しかしながら,不測の事態であるため実施できない場合も想定して,研究手法の変更も考慮する.例えば,オンラインにて実施できる方法等検討したいと思う.また,2020年度予定していた国際学会での研究成果発表については,海外への渡航制限や国際学会が開催されないことも想定されるため,実施できない可能性がある.
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Causes of Carryover |
購入予定であった画像刺激ソフトウェアMTS0411を別のソフトで代用したため購入しなかった.この予算は次年度,消耗品の購入に使用する.
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