2019 Fiscal Year Research-status Report
一貫指導を基盤としたサッカー育成年代ゴールキーパーのコーチング能力形成過程の解明
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19K19969
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
丸山 啓史 呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 准教授 (70708651)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サッカーゴールキーパー / 指示能力 / U-12年代 / テキストマイニング / 戦術的思考 / 運動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではGKの「コーチング能力」形成過程の解明と指導方針及び指導モデルを理論的・実践的に創出することを目的としているが、研究実施1年目ではGK育成の根幹 を成すGK普及という視点に立ち,導入期GK好意度とGKの指示内容の関係性について映像とICレコーダーを用いて分析した。調査対象者は山陽地区のU-12年代サッカーチームに所属する少年サッカー選手であった。その結果,U-12年代GKがゲーム中に展開する指示は,GK好意度が高い選手ほど指示の量は積極的である傾向を示したが,特に「ボールに間接関与」した選手に対する指示の質に着目すると,GK好意度群間(上位群,中位群,下位群)には大きな差は認められないことが明らかとなった。したがって,GK普及という視点に立つと,U-12年代GK育成では特にGK好意度が低い選手に対して,「サッカーゲーム中の大半を占めるGKが直接ボールに関与しない時間は,指示という戦術的な役割を積極的に展開する必要がある」ということを認識させることで,GKをプレーすることに好意的な態度を形成させる一助となることが考えられた。一方で,GK好意度の高い選手に対しては,より広い地域からの視覚情報の獲得,予測,次のプレーの選択(判断,決断)をプロセスに,「ボールに間接関与」した選手に対する質の高い指示を要求することが,導入期のGK育成の一助となり得ることが期待できた。上記のことは,「呉工業高等専門学校研究報告 第81号」にて報告した。 また,GK好意度には選手の運動・攻撃欲求が関係しているとされているが、GK好意度の高低やGKの指示の量と,GKの運動量に相関がある可能性が考えられた。そこで,定点カメラにて撮影した少年サッカーゲーム映像を基に,二次元DLT法を用いて調査対象としたU-12GKのゲーム中の運動量(移動総距離)を算出しており,現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
U-12GKの指示とGK好意度の関係の調査については概ね予定通り進行した。しかしながら,研究実施1年目に予定していた「育成年代GK指導者を対象に面接調査」について,調査対象としていたGK指導者とスケジュールが合わず,未実施の状態である。また,2~3月期において予定していた学会発表や、集合調査を基盤としたフィールドワークが新型コロナウイルス感染症の影響によって中止となり、研究活動が困難な状況に陥った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施2年目にあたる2020年度では,第一に昨年度課題として残された「育成年代GK指導者を対象に面接調査」を実施予定である。次に,U-12年代から調査対象者を拡大し,基本要素徹底期にあたるU-15年代(中学年代),自立期にあたるU-18年代(高校年代)のGKがゲーム中に展開する指示の実態とその構造を分析する。また,小学,中学,高校年代のGK指示を比較検討することで,各年代固有のGK指示能力の抽出と,異なる年代でも共通するGK指示能力を明確化する。 また,体系化されたサッカー選手育成に定評があるオランダを訪問し,オランダ育成年代指導者及びGKコーチからオランダサッカー育成の概 念とそれを基盤としたGK育成理論の面接調査を行う予定である。しかしながら,現在は海外への渡航が制限された情勢であるため,調査時期についてはよく検討する必要がある。直接オランダへの渡航が困難な場合は,当該研究者がコンタクトを取ることができる現地サッカー指導者を通じて,文献や情報の収集をすることで充足する予定である。
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Causes of Carryover |
3月の春季休業期間において、国内外における研究調査のための旅費を計上していたが、今般の新型コロナ感染症の影響で調査がすべてキャンセルとなったため、次年度使用額が生じた。この点については、2020年度の秋季から春季にかけて実地調査を行うための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)