2020 Fiscal Year Research-status Report
Nrf2の賦活化は運動誘発性の酸化ストレス応答を制御し,筋疲労・筋損傷を抑制する
Project/Area Number |
19K19974
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
小峰 昇一 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 助教 (10839088)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 酸化ストレス / 運動負荷 / 筋損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
過度な運動刺激は,酸化ストレスを増大させ,筋痛や筋損傷を誘発する.抗酸化能マスターレギュレーターである転写因子Nrf2は,活性化することで酸化ストレスに対する保護効果を誘発する.スルフォラファン (SFN)は骨格筋内Nrf2を活性化し,酸化ストレスに対する保護効果を誘発することが報告されている.当研究課題の初年度においては,SFNサプリメントの摂取期間を明らかにした.2週間の摂取で末梢血単核細胞中のNrf2関連遺伝子が増加したため,このデータを基盤として,本年度の運動負荷実験では摂取期間を2週間と定め解析をすすめた. 目的は,ヒトにおける2週間のSFNサプリメント摂取が運動誘発性の筋痛・筋損傷と酸化ストレスを抑制するか明らかにすることとした.大学生16名を無作為に2群に分け,一方の群にはSFNを朝昼晩2週間継続的に摂取させた.肘関節屈曲時における最大筋力の70%の負荷となるよう,重量を設定し,非利き腕の上腕二頭筋に伸張性運動を行い,筋痛を誘発させた.その後,4日間継続的に主観的筋痛と血中筋損傷マーカー(CK, LDH, AST, ALT)を解析した.SFN摂取により,筋痛は運動2日後以降で有意に抑制され,血中CK濃度は運動2日後で低値傾向を示した(p<0.081).酸化ストレスマーカー(MDA)は運動2日後で有意に低値を示した 2週間のSFN摂取は,運動負荷に誘発される筋痛・筋損傷を抑制した.その過程には,骨格筋内のNrf2活性化による抗酸化能向上の関与が考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通りの内容で進行中であるが,新型コロナウイルス感染症対策の実施により,被験者の収集スピードが遅くなっている. 一方で,結果は仮説に近い内容が得られたため,「おおむね順調に進展している。」とした.
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症対策を実施した上で,被験者を募る予定である.
しかし,当初の計画に記載したプラセボ試薬を用いることができなかったため,予算と期間の都合上,パイロットスタディーとしてまとめ,国際誌に報告することも視野に入れる.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策により,被験者の収集に困難を極め,解析人数が減ったことに伴い,解析試薬の購入数も減少したため,次年度使用額が生じた. 次年度の使用としては,感染症対策実施の状況を鑑みながら,現在までに取得したサンプルの追加解析や,論文投稿に費やす予定である.
|