2021 Fiscal Year Research-status Report
極めて短時間で全身持久力から骨格筋の量・機能の向上をもたらす新たな運動様式の開発
Project/Area Number |
19K19990
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
山岸 卓樹 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (10794696)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間欠的短時間高強度運動 / スプリントのセット数と骨格筋の生理学的応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2020年度末に取得したデータの解析を進めた。具体的には、健常成人男性10名を対象に短時間高強度運動(15秒自転車スプリント×3セット)が大腿部の骨格筋活動レベルおよび酸素消費動態に及ぼす影響をMRI T2値、積分筋電図(iEMG)、組織酸素化指標(TOI)を用いて多角的に検討した。その結果、①僅か30秒の高強度運動(15秒×2セット)により対象8筋(大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋・大内転筋・大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋)においてMRI T2値が有意に増加する、②大腿前面の広筋群(外側広筋・内側広筋)においてセット数の増加に伴い有意にT2値が増加した一方で、大腿直筋および大腿後面(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)の筋は2セット以降頭打ちになる、③T2値が2セット以降も増加した筋では、iEMGが3セットを通して維持された一方で、T2値が増加しなかったその他の筋ではセットを重ねる毎に同指標が有意に低下する、④スプリント時の酸素消費動態は二関節筋(大腿直筋)、単関節筋(外側広筋)ともに同様の傾向を示したものの、二関節筋においてその程度が大きいことが明らかとなった。
MRI T2値は骨格筋の代謝応答を、表面筋電図は神経筋活動をそれぞれ反映していることから、T2値が2セット目以降に頭打ちになった筋においてiEMGの低下が見られたことは、神経系疲労(筋活動の低下)により代謝応答が鈍化したことを示唆している。また、自転車スプリントは前屈み(股関節屈曲位)で実施するため、(股関節屈曲と膝関節伸展に作用する)大腿直筋において、(膝関節伸展のみに作用する)外側広筋よりも酸素をより多く消費していたと推察できる。本研究の結果から、15秒以上の全力スプリントを2セット以上実施した場合、広筋群以外ではセット数の増加が必ずしもより大きな刺激をもたらさないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は2020年度までに所得した実験データを取りまとめ2本の論文発表を目指していたが、自身の所属先の変更などもあり、データ解析、論文執筆作業がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、2020年度にEuropean College of Sport Science(ECSS)学会大会で発表した内容に関する論文を執筆中だが、当該論文の投稿が終わり次第、前述した2021年度の解析結果についても論文執筆を進め2022年度中の論文掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度も新型コロナウィルス感染症の影響で学会発表等の出張を控えたため大幅に経費が抑えられた。2022年度の当該助成金は主に論文掲載料にあてる予定である。
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