2021 Fiscal Year Annual Research Report
Does the increase in blood carbon dioxide concentration induced by vocalization during exercise reduce oxidative stress?
Project/Area Number |
19K19992
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
有川 一 中部学院大学, スポーツ健康科学部, 教授 (10582174)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動 / 発声 / 血中二酸化炭素濃度 / 酸素飽和度 / 筋酸素状態 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「運動中の発声によって誘発される血中CO2濃度上昇」が引き起こす末梢組織へのO2供給状態の変化が酸化ストレスへ及ぼす影響を明らかにすることである。 2019年度の成果としては,発声を伴う運動が誘発する血中CO2濃度上昇は活動筋へのO2供給量を増加させる傾向がみられたが,これに伴い発生する酸化ストレスは基準範囲内であること,そして,運動実施中の発声により主観的運動強度が増加するため長時間の運動は困難であることが明らかになってきた。したがって,「発声を伴う運動」によって活動筋へのO2供給量増加が生じる可能性はあるが,この効果は短時間運動に限定されることが考えられた。 ただしこれは,運動実施中に発声を行うことに慣れている者(剣道経験者)を対象とした結果であるため,一般化できるとは限らない。よって2020年度は,「運動実施中の発声に慣れていない者」を対象として同じプロトコールにて実験を行った。この結果,運動実施中の発声に慣れていない者は,発声によって生じる「呼吸困難感」のため継続的な発声が十分に行われず,換気抑制やこれに伴う血中CO2濃度上昇が生じない傾向がみられた。 したがって,これらの結果を総合すると,①「運動中の発声によって誘発される血中CO2濃度上昇」は末梢組織(活動筋)へのO2供給量を増加させるが,これによって発生する酸化ストレスは基準範囲内であること,②これに伴う末梢組織(活動筋)へのO2供給量増加というメリットは短時間運動に限定されること,③「運動中の発声によって誘発される血中CO2濃度上昇」は発声を行いながら運動することに慣れている者にのみ生じる現象であることが明らかとなった。
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