2020 Fiscal Year Research-status Report
サッカーゴールキーパーにおけるプレジャンプの効果的な実施に向けた指標作成
Project/Area Number |
19K19995
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松倉 啓太 同志社大学, スポーツ健康科学部, 助教 (80648676)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サッカー / ゴールキーパー / プレジャンプ / プレー分析 / 視覚探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,スポーツにおいて頻繁にみられる,「相手から打たれたボールに短時間で反応し,少しでも早くボールまで移動する」という競技横断的な課題へのアプローチである.特に移動の事前動作に着目し,代表的な事例として,サッカーのゴールキーパー(GK)がシュートに対する事前動作として行う,「鉛直方向に軽くジャンプする動作(プレジャンプ=PJ)」を分析し,最終的に「試合状況や個人の身体的特徴に応じた PJを獲得するための指標を作成すること」を目的としている. 20年度は,まずトップレベルのサッカーゴールキーパー(以下GK)が,どのように試合中においてプレジャンプを実施しているのかについて,FIFAワールドカップ2018の全ゲームのGKにおける被シュートシーンを分析した..その結果,「トップレベルのゴールキーパーはシュートの状況に応じて異なる事前動作を行う必要があった」と結論した.これらの検証結果は,学術誌(『体育学研究65巻』)に掲載された. 現在は,シュート時における事前動作実施までのGKの視覚探索動作を研究している. これらの成果を得ることが出来れば,優れたGKがシュートを放たれるまでの局面において,どのような情報を元にシュートのタイミングを推測し,事前動作の開始タイミングを計っているのかを明らかにすることが出来る.これらの結果は初心者GKのシュート対応スキルの向上のために大きく貢献できると考えられる.また,実施する研究手法は他種目のスキル獲得のための視覚探索動作の研究にも汎用することが可能であることから,多くのスポーツにおけるスキル獲得のための研究発展に繋がることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は,昨年度に引き続きサッカーのゴールキーパー(GK)のプレジャンプを含む事前動作を対象に,シュート位置に応じて,トッププレイヤーがどのような事前動作を用いて対処しているのかを検証した.成果は「エリートサッカーゴールキーパーにおける異なるシュートパタンに対する事前動作の特性」というタイトルで 2020年11月に『体育学研究』に掲載された. 現在は,シュート時における事前動作実施までのGKの視覚探索動作を研究している.先行研究などを分析し,研究手法や分析項目についての議論を進めている.当初の予定であれば20年度中に予備実験等を実施したかったが,コロナウィルスの影響もあり,予定通り研究が進んでいないと評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在は,シュート時における事前動作実施までのGKの視覚探索動作を研究している. 実際のゴール前での攻防を模した3vs3のスモールサイドゲーム中のGKにワイヤレスのアイトラッキングデバイス(Tobii Pro グラス 3:トビーテクノロジー社)を装着し,シュートを打たれるまでのGKの視覚探索動作を分析する.これまで他種目における視覚探索動作に関する研究では,熟練者はボールの移動時に予測をふまえた予測サッカードを用いて注視箇所を移動させていることが報告されている。したがって本研究においても,熟練者においては,事前の情報収集に秀でており,パスの最中に次にボールに触れる選手を予測することを可能にし,シュートを放つ選手に対して注視するタイミングを逃していない傾向があることを仮説として考えている.
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響もあり、予備実験や学会参加が実施できなかった。 したがって21年度は20年度に予定していた予算執行計画に基づいて、執行する予定である。 また、英文校正や翻訳に関して予算を執行することも予定している。
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