2022 Fiscal Year Research-status Report
サッカーゴールキーパーにおけるプレジャンプの効果的な実施に向けた指標作成
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19K19995
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松倉 啓太 同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80648676)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サッカー / ゴールキーパー / プレジャンプ / プレー分析 / 視覚探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
22年度は,21年度に引き続きサッカーのゴールキーパー(GK)のプレジャンプを含む事前動作を対象に,シュートが放たれる際の事前動作実施までのGKの視覚探索動作をテーマに昨年度実施したトッププレイヤーを対象としたシュートに対しての視覚探索動作のデータ分析を行った. 分析結果からはトッププレイヤーの特徴として,大学生プレイヤーと比較して相手からシュートやクロスボールが蹴られるまでの一連の流れの中でクロスボールが蹴られる瞬間から逆算して,より早い時間からキッカーを視野に入れていたことが確認された.また,より多くの注視行動と高い注視割合(区間の総時間に対する注視合計時間の割合)が確認された.このことはトッププレイヤーの方が,より多くの注意点から状況認知を行っていたことを示唆するものである.加えて試技後のインタビュー調査のトッププレイヤーの語りからも,より多くの状況認知とそれに伴う予測に関する発話が確認された. したがってトップレベルのGKはクロスが蹴られるまでの局面で,獲得した情報から行う予測(多くの選択肢とその後の展開)の能力に長けているため,最終的にボールが蹴られる直前ではキッカー周辺の情報に注意を払うような方策を用いていたと考えられる. これらの内容は23年3月に行われた日本フットボール学会20thCongressにて口頭発表を行った. このような実際のゲーム状況に近い形でGKの視覚探索行動を測定した事例は国内外において稀であることから,GKがゲーム中に求められる様々な意思決定のメカニズムを明らかにする一助となると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスまん延における研究活動の制限と動作分析に必要となる機器の導入が滞ってしまったため,当初の予定よりは遅れてしまっているが,代替機器の導入を進めていることから,23年度には実施できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次の段階として,このような状況認知と実際の動作との関わりを分析し,本テーマであるプレジャンプの効果的な実施に向けた指標作成へと繋げていきたいと考えている. 具体的には対象者が視覚に捉えている相手競技者の動きと,対象者のプレジャンプ動作の開始タイミングをサンプリングすることで,最適な動作開始タイミングと,それを可能にするために“どのような情報”を相手競技者の動きから読み取るべきなのかを解明していく予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定していた機器ではなく,別の機器の購入へと変更したことから,当初予定していた解析ソフトの購入を見送ったため22年度の執行において残高が発生した. 残高の一部は新たに購入する機器の付属品の購入代金に充当する予定である.
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