2019 Fiscal Year Research-status Report
Activity modification guidelines for exertional heat illness prevention based on environmental and injury surveillance data
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19K19996
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 由梨 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 専任講師 (30822829)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱疲労 / 湿球黒球温度 / 傷害発生率 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の調査期間中(2019年6月~9月)に397件の練習が報告された(室内=177件, 屋外=220件)。熱中症の発生頻度は2.00/1,000 AE (95%CI, 1.21-3.08)で, 屋外の方が室内より高値を示した(室内, 1.34/1,000 AE, 95%CI=0.46-3.08; 屋外, 2.27/1,000 AE, 95%CI=1.42-3.44)。運動開始時のWBGTの平均は25.8±3.5°C (17.0-35.3°C)であり, 平均値は室内(26.8±3.1°C ; 範囲, 19.2-32.0°C)の方が屋外(25.0±3.6°C; 範囲, 17.0-35.3°C)より高値を示した。熱中症予防対策が講じられた146日(37%)において, 特に実践数が高かった取り組みは(1)休憩時間の増加, (2)水分補給回数の増加, (3) 運動強度の調整であった。実践された熱中症対策は1練習あたり1-5であり, 実践された熱中症対策数によって運動開始時のWBGTは異なった(F[5, 391]=46.87, p<0.001)。運動開始時のWBGTが28°C以上と未満の比較では, WBGTが28°C以上の条件において, 熱中症の発生頻度が16.99倍 (95%CI, 2.757-187.3; p=0.0006)であった。 以上のことから、高等学校の運動部活動における熱中症の発生率は海外の先行研究よりもやや高い数値を示すことが明らかとなった。実践された熱中症対策数は運動開始時のWBGTによる影響を受けていたが, 平均WBGT値が25.8°Cにも関わらず熱中症対策が講じられた練習日が全体の37%であったことから, 熱中症対策の実践に対する障壁を今後明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は7校の高等学校(関東5校, 関西2校)に活動拠点をおく31の運動部を対象に調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
熱中症および暑熱環境下における運動調整内容の調査は2020年度も継続する予定である。 本研究において北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州地方のそれぞれから最低でも3校以上、全体で30校の高等学校のサンプルを集めることが、運動部活動における熱中症発生の地域特性を検証するために必要であるため、2019年度の研究実績を用いて各地の教育委員会などの協力を募る予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度の調査対象校が関東に集中していたことから、当初の予定よりも旅費を抑えることができた。2020年度以降の調査では調査対象校を全国区に広げることが必要であるため、次年度に繰り越される研究費は教育委員会や調査対象校の訪問に必要となる旅費に充てる予定である。新型コロナウイルス感染拡大の影響で訪問が困難となる場合は、調査のお願いを専門誌へ掲載する際に必要な広告費として用いる。
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