2023 Fiscal Year Annual Research Report
車いすを効果的に加速させる身体関節運動と,そのメカニズムの解明
Project/Area Number |
19K19997
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田邉 智 近畿大学, 経営学部, 教授 (70435444)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 車いすテニス / チェアワーク / 加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会にともない車いす利用者の増加が推察されるが、それにより車いすの操作性、特に推進性の向上が求められる。車いすの推進力は手で車いすのハンドリムを押す力によって生み出されるため、これまで車いすに関する研究では、車いすの推進力を車輪に付けたトルクセンサを使って測定している。しかし、ハンドリムを押さなくても、体幹などの運動によって車いすを加速させることができるため、車いすを素早く動かすためのメカニズムを明らかにするには、純粋に直接ハンドリムを押す力を測り、それにより車いすがどれだけ加速するのかを明らかにする必要がある。そこで本研究では、車いすテニス選手の手に3軸の力覚センサを固定し、車いすを素早く動かしている時の力を測定した。 これまで、目視でハンドリムに力を加えている区間を推定していたが、本研究では、力覚センサを使うことで、いつハンドリムに力を加えているか明らかにすることができた。車いすを真横から見て、鉛直上向きを0度、進行方向を90度とすると、推進速度の高かった車いすテニス選手は平均で車輪の0度付近から約85度付近までハンドリムに力を加えていた。また、推進力に関係の深いせん断力のピーク値は平均で車輪の35度付近で出現した。その時の車いすテニス選手の肘の角度は約90度、ちょうど屈曲から伸展に切り替わるところで、その後、肘伸展速度および肩屈曲速度が高めていた。さらに、本研究では、ハンドリムから手が離れた後も、車いすが加速する様子が観察された。つまり、ハンドリムに力を加え、車いすをある程度加速させた後、リカバリー局面において体幹を後屈させることによって、より効果的に車いすを加速させていたことが示唆された。本研究はCOVID-19の影響を受け、実験の実施が大きく遅延した。そのため、本研究の詳細な結果および車いすの操作性の向上ための提言については、現在発表準備中である。
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