2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト生体データに基づく骨格・筋腱の形態と機能の統合的理解
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19K19998
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
国正 陽子 新潟大学, 人文社会科学系, 助教 (20804355)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 筋酸素動態 / 筋代謝 / 効率 / 近赤外線分光法 / TRS-NIRS / CW-NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,特徴的な骨格・筋腱形態と運動中の筋の力発揮特性や代謝特性との関連を明らかにするため,これまでに全身運動中の筋代謝測定法を確立に向けて,呼気ガス分析器と近赤外線分光法を用いた走運動時の全身の酸素摂取量と下肢筋群の酸素飽和度との関連を検討してきた.しかしながら,筋組織酸素モニタ(NIRS,汎用性の高いCW-NIRS)を用いて運動中の内側腓腹筋の酸素飽和度を測定したところ,動的に変化する皮膚血流量や,CW-NIRSでは難しい個人間の比較など,当該研究の範囲では解決することができない課題が新たに生じた.そのため,最終年度は,上記の課題の解決を試みるために,新たな筋代謝測定法の開発に向けて,以下の研究を実施した. 皮膚血流の影響を排除した状態での筋酸素動態測定法を開発するため,イオントフォレーシス法を用いて皮膚血管収縮作用のある薬剤をNIRSプローブの光が通過する皮膚部位に非侵襲的に投与し,皮膚血流を局所的に低下させたときのNIRSで計測される骨格筋酸素動態の測定を行った.さらに,筋組織酸素モニタはCW‐NIRSだけでなく,皮膚血流の影響を受けにくいと報告されているTRS-NIRSの両方を使用した.薬剤投与による皮膚血流抑制が全身加温中のCW-NIRSとTRS-NIRSで測定される腓腹筋筋組織酸素化動態に及ぼす影響を調べたところ,薬剤投与によって大幅に皮膚血流の上昇が抑制されたが,完全に抑制することはできなかった.さらに,全身加温中の僅かな皮膚血流の上昇はCW-NIRSで測定される総ヘモグロビン・ミオグロビン量,酸素化ヘモグロビン・ミオグロビン量を有意に増加させた.一方で,TRS-NIRSで測定された同様のパラメータには変化が認められず,薬剤投与とTRS-NIRSを併用することで,皮膚血流の変化の影響なしに,筋組織酸素化動態を評価できることが明らかとなった.
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Research Products
(5 results)