2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K20004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菅澤 威仁 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60821840)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クライオセラピー / ゼブラフィッシュ / E3 ubiquitin ligase / RNA-seq / trim63a / MuRF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に実施したマウスを用いた実験において、動物への頻回の吸入麻酔実行した場合、実験上のバイアスが入り込む可能性が高く考えられたため、他のモデル動物の使用を検討した。近年マウスの代わりに用いられ、ヒトゲノムに対して約70%の相同性もつとされ、代替動物として有用とされるゼブラフィッシュを用いた実験に切り替えた。ゼブラフィッシュであれば本目的を達成するための実験実施時に麻酔薬の使用なしでも実験が可能であり、より少ないバイアスでの実験を実施できると考えられたためである。 ゼブラフィッシュに対して、15℃の冷水による冷却刺激を15分間、3セット実施し、その2時間後に腹部~尾部の間に存在する筋を採取し、total RNAを抽出後、RNAシーケンスにて網羅的に遺伝子発現の変動を解析した。 その結果、筋タンパク質の分解やリモデリングのキーファクターとなるE3 ubiquitin ligaseに属する遺伝子群の発現が増加しており、特にtrim63a(MuRF1)の発現増加は顕著であった。冷却刺激後15分~6時間の間で経時的にその発現量をqPCR法で解析すると2時間の時点で有意に上昇し、その後元の発現量に戻っていった。さらにタンパクレベルでも同様の結果を得た。本結果から、クライオセラピーの急性応答として、一過性に筋タンパク分解やリモデリングが加速され、これが外傷に対するクライオセラピーの分子メカニズムの一端を担っていると考えられた。本成果は定評のある国際誌へ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル動物を変更したため一時的に遅れが生じたが、2021年度中に国際誌へ本成果を発表できたため、概ね順調だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ゼブラフィッシュの筋に対する外傷モデルを作成しているところであり、組織的な損傷を病理標本などで確認後、RNAシーケンスにて網羅的に遺伝子発現を解析する予定である。その結果を吟味し、頑健な筋外傷モデルを確立後、冷却刺激(クライオセラピー)を兼用し、RNAシーケンスを軸としたマーカ遺伝子やタンパク発現、分子シグナルを解析し、クライオセラピーの筋外傷に対する分子メカニズムを明らかにする予定である。
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