2020 Fiscal Year Research-status Report
安全で効果的な至適運動強度の新規同定法-心拍変動解析を用いた検討
Project/Area Number |
19K20010
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
木本 理可 藤女子大学, 人間生活学部, 准教授 (70587394)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心拍変動 / 至適運動強度 / RRI / ウェアラブルセンサ / 酸化ストレス / 健康増進 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,複数の運動様式で実施した各運動時において,ウェアラブルセンサによる心拍変動(Heart Rate Variability:HRV)解析を用いて,より安全で効果的な新規至適運動強度の同定を目指すことである. 初年度より,波状負荷運動および段階負荷運動実験を実施し,その検討を進めている.健康な男性6名を被検者として,自転車エルゴメーターを用いた疲労困憊までの漸増負荷運動を行い,呼気ガス分析の結果から無酸素性作業閾値(Anaerobic Threshold:AT)を決定した.その後,運動強度を最大120%AT watts,最小50%AT wattsになるように設定した波状負荷運動および60%AT wattsから80%AT watts,100%AT watts,120%AT wattsへと6分間ごとに負荷を増加させる段階負荷運動を行った.運動開始前の安静時から運動終了まで,呼気ガス分析およびHRV解析を行い,HRVの測定にはウェアラブル心拍センサを用いた. その結果,波状負荷変動運動中のR波ピークごとの間隔(R-R Interval:RRI)はAT watts以下と比較してAT watts以上では有意な低値が認められた.また,RRIは負荷が増加すると小さくなり,負荷が減少すると大きくなり,変動する負荷に合わせて変化する傾向がみられたことから,RRIの変化は運動の継続時間に依存するのではなく,負荷の増加に依存している可能性が示唆された.段階負荷運動においても,負荷が増加するにしたがってRRIが減少し,特に100%AT watts以降は変化の幅も低下する結果となった. これらの結果より,RRIの変化は運動負荷の増加に依存し,その変化はAT前後で異なることが明らかとなったため,HRV解析を用いることで簡便に鋭敏に至適運動強度の同定が可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は,これまでの研究成果をもとに,HRV解析を用いた至適運動強度における安全性の検討を行い,国際学会および全国学会での研究成果の公表を目指していた.しかしながら,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け,被検者の協力が必要となる実験については実施が非常に困難であり,当初参加を予定していた国内外の学会大会が延期・中止となるなど,成果の公表や意見交換の機会が喪失した.その一方で,前年度までの実験結果についての詳細な検討を進めることができたため,現在は今後の学会発表および論文投稿の準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症による影響は,今後もある程度継続するものと考えられるが,昨年度の経験をもとに,感染拡大防止に最大限配慮しながら,実施を延期している運動実験の実施を目指す.被検者選定や,各実験設備・備品等を整え,感染拡大防止に必要な物品についても購入を検討する等,安全に実験が実施できよう,環境整備に努める.また,前年度までの研究成果の公表を進めていく.
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Causes of Carryover |
実施予定だった人を対象とした運動実験の延期や参加予定だった国際学会等の中止により,物品費,謝金,旅費の支出がなかったため,次年度使用額が生じた.このため,延期した運動実験および学会参加等,成果公表のための経費として,次年度に支出予定である.
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