2019 Fiscal Year Research-status Report
優れた敏捷性を生み出す動作方略の解明―新規開発の反応敏捷性テストを用いて―
Project/Area Number |
19K20024
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 隆彦 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (50780813)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敏捷性テスト |
Outline of Annual Research Achievements |
敏捷性は、試合状況に応じて様々な方向に素早く疾走する能力であり、球技スポーツの競技パフォーマンスを決定する一因である。したがって、敏捷性を正しく評価するテスト、および敏捷性向上に繋がる指導法やトレーニング法の確立は、球技系のスポーツ現場で広く求められている。敏捷性は知覚・判断能力と方向転換走能力から構成されるにも拘わらず、既存の敏捷性テストや動作分析では知覚・判断能力が反映されないタスクが用いられてきた。敏捷性向上に繋がる知見を得る為には、知覚・判断能力と方向転換走能力の双方が発揮されるタスクにおいて、優れた敏捷性を生み出す運動学的特徴を抽出することが望まれる。そこで本年度は、知覚・判断能力を反映した敏捷性を評価するテストの開発に取り組んだ。本研究で開発するテストは、スタート位置を中心とした円周上で等間隔となる8か所に設置したLEDランプとプッシュスイッチによって構成される。8角形の頂点の内3点を順に移動した際に生じる方向転換角度は13種である。13種の方向転換を各1回行わせる為のランプ点灯パターンを探索した。ランプ上で方向転換する際、次の目的地となり得るランプは残りの7か所である。したがって、13回の方向転換を行わせる際のランプの点灯パターンは7^13通り、96889010407通りとなる。この中で13種の方向転換が各1回行われる点灯パターンは71108通りであった。また、これらの点灯パターンにおいても、総走行距離は複数通り存在する。同じ総走行距離となる点灯パターンが最多となったのは、総走行距離約75mの点灯パターンであった。これらの点灯パターンを記憶させたマイコンを用いてLEDランプの点灯順を制御できることを、ブレッドボード上の実験で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、テスト装置の開発に取り組んだ。本研究で開発するテストは、スタート位置を中心とした円周上で等間隔となる8か所に設置したLEDランプとプッシュスイッチによって構成される。8角形の頂点の内3点を順に移動した際に生じる方向転換角度は±45度、±67.5度、±90度、±112.5度、±135度、±157.5度、180度の13種である。これらを各1回行わせる為のランプ点灯パターンを探索した。ランプ上で方向転換する際、次の目的地となり得るランプは残りの7か所である。したがって、13回の方向転換を行わせる際のランプの点灯パターンは7^13通り、96889010407通りとなる。この中で13種の方向転換が各1回行われる点灯パターンは71108通りであった。この点灯パターンを記憶させたマイコンを用いてLEDランプの点灯順を制御できることを、ブレッドボード上の実験で確認した。 当初の計画では7通りの方向転換を各1回行わせることを想定し、方向転換の順番として、7の階乗、5040通りのランプ点灯パターンを設定する予定であった。しかし、5040通りの中でも、順番通りに方向転換した際に装置が構成する8角形から逸脱してしまうパターンが存在していた。また、次の目的地が同じであろうとも、直前の経由地によって方向転換角度は異なる。実際には、直前の経由地と次の目的地の組み合わせにより、方向転換角度は13通りであった。すなわち、一度のテストで全ての方向転換を行わせる為には、13回の方向転換が必要となる。したがって、7^13通り、96889010407通りのランプ点灯パターンからテスト用の点灯パターンを探索しなければならず、抽出に計画以上の時間を要した。加えて、テスト装置作成用の部品供給が滞り、計画通りの進捗が得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度前半では、本研究で開発したテストの信頼性検証を行う。計画では、バスケットボール部、ラグビー部、サッカー部、アメリカンフットボール部、ハンドボール部に所属する大学生各20名、合計100名を対象に、本研究で開発した反応敏捷性テストの結果を従属変数、既存の敏捷性テスト(Illinois agility test)および知覚・判断能力テスト(Visual Reaction Time、Eye/Hand Coordination)の結果を独立変数とする重回帰分析を行う予定である。また、次年度後半では、本研究で開発した反応敏捷性テストの成績が良い被験者群と悪い被験者群の間で、動作方略を比較する予定である。しかし、感染症拡大の観点から、現在はデータ取得を目的とした実験が許可されていない。現状遅れているテスト装置の製作は、部品供給の回復により現在進行中である。データ取得を目的とした実験の許可が下りるまでにテスト装置の製作を終え、許可が下り次第、信頼性検証の為のデータ取得を開始する。
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